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日本国憲法の制定過程から学ぶ 9月28日の貴族院帝国憲法改正案特別委員小委員会の審議 〈寄稿〉文/小川光夫 No.96

公開:2011年12月16日

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 貴族院帝国憲法改正案特別委員小委員会は、9月28日から10月2日まで4回にわたって開会された。実はこの小委員会は、議員以外の者の傍聴は認めず、また小委員会案を決定した審議の最終段階を除いては速記も付されずに審議が進められた。委員会の審議の大部分については議事速記がなされていなかったが、しかし当時の貴族院事務局において、要点筆記を整理して「小委員会筆記旨」を作成していたので、それについて少し述べたいと思う。子爵織田信恒議員は、GHQより政府を通じて15条2項に「universal adult suffrage 」の原則を明記すること及び66条に「総理及び国務大臣はcivilian でなければならぬ」を条項に追加することを申し入れてきた。それに対して松本学議員は、「この2点については重大な事柄であるから、政府からも事情を聴き、又字句も練らねばならぬ」とした。政府国務大臣金森徳次郎は、「24日、GHQのホイットニーとケーディスが首相を訪ねて来て修正を要求してきた。彼らは実質的なものではないから受け入れてくれ、このことは新聞にも書くな、内容についてもあまり云うな、どうしても云わねばならぬときはGHQの希望によるものだと云って欲しい。ほんとうはGHQ以外の所から来たものである」と云って英訳の15条の所に「Universal adult suffrage is hereby guaranteed」を66条1項に「Prime Minister and all Ministers of the State shall be civilians 」を加えて欲しいと要求してきた。FEC(極東委員会)は度々この件についての修正を要求してきているということであったので、GHQとの打ち合わせの結果、15条3項として「公務員の選挙については成年者による普通選挙を保障する」、66条2項として「内閣総理大臣その他の国務大臣は武官の職歴を有しない者でなければならない」というような内容を入れることで話がついた。  

 シビリアンについては、文民の他に文人、文官、凡人、民族、平人、非軍人など様々な案があったが、結局第66条2項の「内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない」という小委員会案をまとめた。こうして第9条の芦田修正をそのままにして極東委員会の基本原則にあった普通選挙の規定(現憲法第15条3項)とともに「文民条項」(現憲法66条2項)は、貴族院、衆議院を通過した。


 

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