日本国憲法の制定過程から学ぶ 国家主権と日本 〈寄稿〉文/小川光夫 No.99
尖閣諸島近海で中国漁船による衝突事件があったかと思うとロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問し、竹島は韓国によって不法占拠されるなど我が国の国家主権が危ぶまれている。
近年、北方領土の各地で社会資本の整備が行なわれており、この数年で北方四島は様変わりし、多くのロシア人が住み着くようになった。旧ソ連は南樺太や北方領土に住んでいた日本人を強制的に追い出したが、今度は、口実として北方領土にロシア人を住まわせて新たな国家主権を築き上げようとしている。しかも北海道の漁業会社がロシア国境警備局係官に千島沖の操業のために数億円の手数料を支払ってきたという事実も明らかになった。領土が不当に奪われただけでなく、領土沖で操業するのにもロシア人に手数料を支払っていた事実に対して日本政府は何も対応ができないでいる。また日本の経済成長力が芳しくないなか、共産主義国の圧力だけでなく韓国の経済力が現在では日本の脅威になっている。吉田茂が「ディプロマチィク・センス=外交的感覚のない国民は滅びる」といっていたが、国際社会のなかでの外交を疎(おろそ)かにしてきたことのツケが今や日本経済に危機的状況を生み出している。
またマスコミにおいては、戦前、軍部に加担して若者達を戦場へ向わせたにもかかわらず、反省することもなく、今度は日本の政治・経済・文化などを混乱させている。民放テレビは連日のように政治家の無能力を批判し、若者の就職難を指摘するだけで日本の将来のために導くことはしない。しかもお笑いに番組の司会者やコメンテーターを担当させて政治・経済・軍事などの専門的な分野についても意見を述べさせている。そしてアメリカ、ロシア、中国に対しては遠慮し、韓国については不思議なほどにその躍進を褒め称える。また政府についても心配なことは、TPPへの参加である。東南アジアとの連携を深めることについては賛成だが、レーガン政権時代がそうであったようにアメリカの財政難の便宜を図るために利用されてはならない。
アジアを旅すると感じることがある。ベトナムではいたる処でホンダやスズキなど日本製のオートバイや自転車が走り、マレーシア、タイでも日本車が走っている。台湾は、東日本大震災に対して巨額な支援金を送ってきたが、台湾との関係はそれだけではない。台北では日本車が走り、駅前には三越デパート(新光三越)が聳え立っている。話に聞くと台湾には約20店舗(?)の三越デパートがあって繁盛しているという。我々、日本人にとって何処の国がほんとうに必要な国なのかを見分けなければならない時が来ているのではないか。
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