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有機農業で栽培する野菜を家庭に届ける 井上 昌代さん 二宮町在住 38歳

公開:2012年9月28日

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自然想い、耕す人との絆

 ○…天然原料のみを使用した蚊取り線香が炊かれる家の食卓には、ナスやオクラといった旬の野菜が並ぶ。自身が手塩にかけて育てた有機野菜たちだ。

 ○…二宮を中心に7カ所で有機農業に取り組んでいる。野菜など年間50種の作物を栽培し、近隣の家庭約30軒へ採れたてをみずから配達。「月並みだけどお客さんから『おいしい』の一言が聞きたくて。農薬を使わないのは本当に大変なんです」と苦労を口にするが、その顔は一点の曇りもない。

 ○…農業を志したのは22歳。大学で外国語学部に在籍し、将来は英語を活かせる職業を考えていた。しかし、1冊の本との出会いが人生を変えた。『エビと日本人』。東南アジアの森林が伐採され、池で養殖されたエビを日本人が食らう。「他国の犠牲により日本が生かされている現実に疑問を感じ、自活しなければと思った」。そして、自給自足の農へと心が向かう。卒業後は農業を通じた海外支援団体に属し、その後軽井沢へ。開園資金を貯め、2001年、故郷で「有機農園つ・む・ぎ」をオープンした。

 ○…農園を順調に拡大してきたが、先の震災では大きなダメージを負った。放射能を心配した配達先の家族が関西へ移住。小学生の女の子との別れが何より悲しかった。自分の野菜を喜んで食べていた少女は、かつて作文にこう綴っていた。「井上さんが野菜を作り、私が料理を振る舞う。夢は農園付きレストランの経営」と。少女との夢が遠のき「心にぽっかり穴があいた」という彼女を救ったのは長野の農業仲間だった。「『新しい出会いをあきらめちゃダメ』と声を掛けられ、原点に戻れた」という。

 ○…女性1人で開いた農園の名には、自然と人、人と人との関係を大切に紡いでいきたいとの思いが込められている。夢を与えてくれたのも、悲しみから立ち直らせてくれたのも”ひと”。「人々においしい野菜を届けるのが私の役目」と今日も元気に畑へ向かう。
 

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