ギャラリーさざれ石で個展「大磯の光と風」を開催する 住谷 重光さん 大磯町東小磯在住 62歳
感性で描く光と風
○…「目の前にある物をただ描くのではなく、差し込む光や流れる空気を感じ取って絵にする。それが私の描き方」と分析する作品たちは、淡い色合いながらも確かな存在感を放つ。モチーフは主に風景や樹木などの自然。現場に必ず足を運び、肌と心で感じたイメージをあるがままに表現する。今回の個展テーマは「大磯の光と風」。「大磯町に住む人たちが、身のまわりにある美しさを再発見してもらえる場になれば嬉しい」と柔和に言葉を紡ぐ。
○…神戸で生まれ、2歳頃には絵で遊ぶように。「一日に2枚は描いていた」という小学生の頃はお小遣いを全て画用紙や絵の具に費やした。高校の頃に坂本繁二郎の絵に出合い、自然や物の存在感を感性で描く画風に惹かれ絵の道を志す。しかし通っていた高校は進学校。「絵で食べていける人はほんの一握り。美術部は部員も多く盛んだったとはいえ、担任からは止められましたよ」と苦笑する。
○…夢を追って上京し、東京芸術大学に入学。同じく絵を志す同志と腕を磨き多くのものを吸収したが、心にある感動の原点は変わらなかった。「描き手である自分の存在を極力消して、自然の美しさを出す。おぼろげだった自分の描き方がはっきりとしてきたのは、50歳になってからかな」と目を細める。
○…多くのギャラリーを抱える画壇の最先端である銀座でも毎年個展を開く。「個性的でも感性が鋭いわけでもない凡人」と自身を評するが、心安らぐ画風にファンは多く、病院やホテルのロビーにも多数の作品が飾られている。現在は大磯町高麗にあるアトリエで創作に励む。「一軒家を思いのままに改装させてくれた。快く受けてくれた大家さんには感謝しています」と満面の笑み。「多くの人に支えられて、やりたいことを実現できている。本当にありがたいこと」。波間に揺れる光と香る潮風…。湘南の自然に包まれて、今日も絵筆はたおやかに踊る。
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