大磯警察署生沢駐在所に35年間勤務した 村瀬 敬さん 大磯町生沢在住 60歳
警察人生「感謝」の35年
○…地域を見守る駐在所のお巡りさんとして35年。今年3月で定年退職を迎える。「ここまで続けられたのは、地域の皆さんと家族に助けてもらえたから」と、開口一番に感謝の言葉が溢れる。刑事だった父の後を追って選んだ警察官の道。「地域に根差した仕事をしたい」と上司に志願して駐在所に勤務したのは26歳の時。「当時新婚だったのですけれど、妻にも相談してね」。駐在所に住むことになるため、緊急の通報や定期的な入電など、家族の理解と協力が欠かせない。「パトロール中は妻が電話をとってくれたり、とり損ねた電話を子どもたちが教えてくれたりしてくれました」と柔和な表情で振り返る。
○…雨の日も風の日も、国府小学校の前で通学を見守る活動は自身のライフワークとなっていた。かつて目の前を歩いた児童が親となり、今はその子たちを毎朝見守る…。そんなエピソードも、長年この地域のために尽くしてきたからこそ。後任との引き継ぎを終え、駐在所での最終勤務日となった朝も、いつもの通学路に立った。「子どもたちは普段から気さくに話しかけてくれて、今日はハイタッチしたり、最後の挨拶をしたり」と別れを惜しんだ。
○…防犯意識の高い石神台地域との合同パトロールでは、継続的な活動で犯罪件数を大幅に減少させることができた。毎月の「駐在所だより」による広報紙のコンクールで警察庁長官賞を受賞し、2009年には全国優良警察職員表彰も受賞した。ひたむきな姿はすっかり地域の顔となり、退任前の駐在所には多数の花が届けられた。「まるでお花屋さんみたい。でもありがたい」と満面の笑み。
○…警察官としての職務を全うし、横浜での再就職が決まっている。唯一の心残りは「もう少し女房孝行をしてあげたい」という願いだ。「35年間苦労をかけた。どこかへ連れて行って、美味い物でも食べさせてあげたいなぁ」。遠い目線に、優しい夫の横顔が見える。
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