大磯町生沢出身の蒔田泰広さん(17歳)が昨年11月、ブラジルの名門サッカークラブ「コリンチャンス」の入団テストに合格した。FIFAの規約により、外国籍選手は18歳になるまでプロ契約を結ぶことができないため、育成クラブの一員としてトレーニングに参加。将来は日本代表入りと欧州5大リーグへの挑戦を夢見る。
蒔田さんは国府中学校を卒業した2014年6月にブラジルに渡り、サンパウロ州の学校に入って学業とサッカーを両立している。「生活面の苦労は特にありません。初対面の自分に対しても、周囲が友達のように接してくれてとても助かりました」という。
しかしサッカーのプレースタイルでは、日本とブラジルで大きな差を感じた。「ブラジル人は強くてうまい。日本人とは(ボールを)取りに来るタイミングなどが違うし、モチベーションもすごく高いものを持っています。強さがないと厳しい世界ですが、自分のプレーだけは曲げませんでした」
足技「まるでサーカス」
小学生のころからサッカーを始めた蒔田さんは、中学生になると「ヘラクレス大磯ジュニアユース」に入団し、非凡なサッカーセンスの片りんを見せ始めた
蒔田さんの印象について、ヘラクレス大磯代表の小林哲也さんは「攻めるけど守備の意識が低く切り替えが遅い、いわゆる『だめ』な選手でした」と振り返る。
しかし、ドリブル技術の高さには目を見張るものがあった。蒔田さんのプレーを見た相手チームの監督から『サーカスのよう』と驚かれるなど、「とにかく、ボールと遊ぶという言葉がぴったり。練習後もコートに残り、ずっとボールに触っていましたから」と小林さんは話す。
コリンチャンス入団テスト合格
蒔田さんは中学2年生になると、憧れの選手というネイマールを生んだブラジルでのプレーを望むようになった。父親の一さんは「ヤス(蒔田さん)は『中途半端は嫌だ』と意思を固めているようでした。もちろん心配はありましたが、決断するのは本人」と、息子の留学を認めたという。
2015年、蒔田さんはブラジル屈指の名門クラブ「コリンチャンス」の入団テストに臨み、6週間近いセレクションを通過した。一さんは「まさかそこまで行くなんて、奇跡だと思った」。小林さんも「世界トップレベルのチームに評価されたことは本当に嬉しい。ヤスの『ヘラクレスのドリブルはブラジルでも通用する』というメッセージは、後輩たちの励みにもなっています」と喜ぶ。
東京五輪
蒔田さんはブラジルで経験を積み、将来はスペインやドイツ、イタリアなど、欧州5大リーグのクラブ入りを夢見ている。21歳で迎える東京五輪については「もちろん意識しています。日本代表に入るため、そこから逆算して日々の練習に取り組みたい」と、日の丸を背負う将来の姿を見据えている。
遠く離れたブラジルの地で送るサッカー生活。蒔田さんを支えるのは、日本から活躍を願う家族や仲間、在籍したチームの指導者という。「みんなにお世話になって今の自分があると思っています。将来ビッグになって、絶対に恩返しします」とメッセージを寄せた。
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