設立15周年を迎えた大磯町太極拳協会の理事長を務める 中沢 司郎さん 大磯町西小磯在住 76歳
「継続の力」で太極拳振興
○…大磯町内に11ある太極拳教室を束ねる町太極拳協会の理事長を務める。「人口比でいったら平塚や鎌倉よりも多いほど」とシニアを中心に140人近い会員を抱え、熱心な愛好者に支えられて設立15年の節目を迎えた。「いくつになっても楽しめるのが一番の魅力」と、喜寿を目前に控えた今も太極拳一筋。セカンドライフを楽しもうと62歳から始めた趣味のおかげで「肩こりや足の冷えもすっかり良くなりました」と、血色のいい頬を緩ませる。
〇…エンジニアを夢見て大学の機械工学科で学び、卒業後は船舶のディーゼルエンジンを製造する企業に就職した。「でも任されたのは品質管理の現場。作業員の仕事をチェックするために工場内を歩き回りましたよ」と笑う。所属部署では中学校を卒業した職業訓練生の指導も担い、興味を持ったのが教育の世界。会社を退職すると再び大学の門をくぐり、教員免許を取得した。
〇…創立間もない平塚西工業技術高校に赴任したのは24歳のとき。大学で打ち込んだ経験を生かして軟式野球部を立ち上げ、空手部の顧問も務めた。子どもたちを指導するために自らも空手を始め、三段を取得するほどの腕前に。多感な高校生を相手に衝突することもあったが、夢を背負い巣立っていく教え子に自らの学生時代を重ねた。巣立ちを見守った生徒は数知れず「結婚式にも30回は呼ばれたでしょうか」と懐かしむ。
〇…昨年からは所属教室の「こゆるぎ太極拳」で講師に就任した。穏やかな物腰の中に筋の通った武道精神を宿すベテランは、「楽しく和気あいあい」をモットーに奥深い太極拳の魅力を伝える。理事長に就いて6年目に入り「町との交流を深め、協会の活動を広げたい」という組織の展望もある。教員時代、生徒たちに伝え続けた「継続してやり遂げたことが、きっと財産になる」という教えを、太極拳と向き合う自身の胸にも刻む。
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