自然現象を対象にした小中高生の科学実験やリポートを表彰する筑波大学主催のコンクールで、大磯中学校の科学部が最高賞となる「科学の芽」賞に選ばれた。一昨年に続く同賞獲得に、部員は「実験結果をまとめるのは大変だったけれど、賞を取れてよかった」と達成感をにじませている。
研究テーマに選んだのは、水道の蛇口から出た水が流し台などに当たるとできる水の輪。「水が広がっていくとき、その力で周りの水を押し出して輪ができるのでは」などと仮説を立てながら、校内の流し台を使い検証。発生メカニズムや水の流量と輪の面積の関係などについて実験を繰り返し、10ページのリポートにまとめた。
輪の内外で水の流れる速さが異なるのかを調べる際は、蛇口の水に流した紙片をハイスピードカメラで連続撮影し、動いた距離を測定して流速を求めるなど、工夫を凝らしながら疑問を解明していった。輪の面積と摩擦の関係を調べる実験では、目が細かいやすりの上では通常よりも水の輪が大きくなる結果が判明。サメの体にヒントを得た水着が、水の抵抗を減らすことを裏付ける「副産物」も生まれた。
「家でお風呂に入っているときも、蛇口から流れる水を眺めていました」と話す龍岡紘海(ひろみ)君(3年)は、苦労してつかんだ賞の重みをかみしめる。「実験を進めるうちに新しい謎がどんどん生まれてきた。一筋縄ではいかないのが科学の面白いところ」と、部活での経験が研究者になるという夢を駆り立てた。
実験をリポートにまとめた伊東実聖(みさと)さん(3年)は、「仮説を立てる思考力や論文を書く力がついたことは、自分の財産になると思う。将来就きたい医療関係の仕事にも役立てたい」。学級担任でもある顧問の林恭弘教諭が来春で定年を迎えることもあり、「大きな賞がもらえてうれしい」と顔をほころばせた。
コンクールは、筑波大学にゆかりある朝永振一郎博士がノーベル物理学賞を受賞した功績を記念して、これまでに12回開催。今年は全国から3086件の応募があり、中学生部門は1936件中8件が「科学の芽」賞に選ばれた。
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