連載【4】 検証・小田原の課題 子育て支援
待機児童の解消や保健士による出産後の家庭訪問など、国の施策とともに育児環境の整備が進む小田原市。行政と民間、市民の「協働」を掲げ、子育て施策も民間への委託が進む中、子育て家庭が孤立しないための方策を探った。
市民力を活用情報発信いま一歩
▼市内4箇所の子育て支援センターには、1日平均120組の親子が訪れ、子どもを遊ばせながら情報交換の場として活用されている。生後6カ月までの赤ちゃんと親が集う「赤ちゃんデー」や、7カ月から11カ月限定の「ヨチヨチデー」など、成長に合わせたイベントも定期的に開催されている。30代のお母さんは「家で子どもと2人きりだと息がつまることもある。、気兼ねなく安心して出かけられる場所があると気分も楽」と話している。
▼子育て支援センターは平成17年から3カ所のタウンセンターに併設された。昨年には小田原駅西口に路面型の支援施設「おだぴよ」が開所。初めて民間の事業者からの企画・提案を受け委託先を選考した。その結果、お母さん向けのヨガ教室など利用者のニーズを反映し成果を上げている。
▼また、地域の民生委員が中心となって開催している子育てサロンやサークルを応援するため、平成24年度から「地域子育てひろば事業」も始まった。「子育て支援は行政だけでは出来ない。民間、市民の力を生かし、地域の人に支援者として参加してもらえる仕組みをつくりたい」と、市職員は話している。
▼民間や市民との協働が進み、子育てしやすい環境の整備と支援の充実化が図られる一方、担当課が数箇所にわかれており、情報の集約ができていない点が課題だ。子育て支援センターの情報は子育て政策課、入園の情報は保育課、医療に関しては健康づくり課と保険課など、問合せ先も複数に渡る。それぞれが紙媒体やホームページで情報発信を行っているものの、市民が総合的に把握できず、せっかく力を入れている事業も伝わっていない。
▼厚木市では情報政策課が主体となり、平成16年度からポータルサイト「マイタウンクラブ」を運営。行政情報をはじめ民間サービス、お店の情報などを総合的に発信しており、登録者数は13万人を超えている。平成19年度末にはソーシャルネットワークシステムも開始。保育所や児童館それぞれがアカウントをもち、一部ツイッターとも連動しながら情報を発信している。行政の専門スタッフが責任を持ち、民間と協力して運営したことに、成果の鍵がある。スマートフォンの普及に伴い、手軽に情報を得られる時代、子育て支援には情報を集約し総合的に発信することが重要となるのではないだろうか。