新しく小田急線小田原駅長に就任した 鈴木真人(まこと)さん 小田原駅勤務 51歳
ひたむきに花咲かす
○…新宿駅改札口の切符切りから始まった鉄道人生は、間もなく34年目を迎える。70の駅を6つの管区に分ける小田急線。鶴巻温泉から小田原の11駅と、箱根湯本の営業センターを加えた小田原管区の管区長兼小田原駅長に就任して半年が経った。1日の乗降客6万5千人を数える小田急線小田原駅への配属は当初「観光大使みたいで、気が重かった」と笑って振り返る。箱根の玄関口という土地柄から「笑顔を添えてのお出迎え・お見送り」を実践する。
○…新人時代の思い出はまかない料理。最初に先輩から命じられたのは味噌汁づくりだ。だしの存在も知らなかった青年は、「料理は色で覚えろ」という先輩の言葉に奮起した。凝り性の性格が幸いし、腕はめきめき上達。今やかつお節を削ってだしをひくことから始まり、うどんに酢豚、牛丼など、家人の舌も満足させている。
○…大きな花を咲かせるよりも、コツコツ努力して「花を咲かせる」ことこそ意義がある、と教えてくれた上司との出会いが、鉄道マンとしての原点だ。昇進試験を勧められても「ひねくれて」素直に受けなかった自分を決して叱らず、笑って見守ってくれた人。そのあたたかな存在に「自分一人で生きているのではない」と気づかされた。部下を持つ立場になり、「胸を開いて話を聞く」ことを心がける。若手には「文句を言わせる。自分の言葉で話をさせて、そこから輪が生まれるから」。彼らの訪問を待つかのように、駅長室にはいつも香りのよいコーヒーが用意されている。
○…現在は町田から、約1時間かけて通勤する。新松田駅を出て酒匂川を渡るときに目に飛び込んでくる富士山は、幾度見ても感動を覚えるそう。大涌谷のロープウェイから眼下に広がる景色もお気に入りだ。風光明媚な管区を担う身として、「知識がまだ足りない。どんな案内もぬかりなくできるよう、もっと勉強しないと」と襟を正した。
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