夏の神奈川大会が行われる12球場の一つ、小田原球場の管理を小田原市事業協会の職員として、15年間に渡って続けてきた小泉勝さん。球児たちが熱戦を繰り広げる戦場に日々、熱い視線を送ってきた。
球場開設から4年後の1994年にその職に就いた。以来、天気予報とにらめっこしながらグラウンドのことばかり考える日々を過ごしてきた。
主に1、2回戦の会場となる同球場は、4〜5日間連続で実施されるケースが多く、日程のずれが生じないように多少の悪天候でも強行してしまうことが多い。だからこそ、小泉さんは日頃から悪条件にも立ち向かえるグラウンドづくりに徹した。「特にこだわってきたのは水はけの良さ。元が田んぼなのでシートをかぶせても水分が浮き上がる。特性を理解しながらやることが難しかった」と振り返る。
今なお忘れられない苦い思い出がある。自ら整備にあたったグラウンドでボールがイレギュラーバウンド。選手の顔面に打球が当たってしまった。「グラウンドは生き物と同じ。しっかり整備をしているつもりでも不慮の事態が起こりうる」と改めて学んだ小泉さんは、試合後からそれまで以上に真剣に仕事と向き合った。「少しでもよい状態で選手にプレーしてもらうことが我々の役目。怪我をしてしまうと、選手たちの今までの努力が水の泡になってしまう」
人事異動で今春からわんぱくらんど(久野)に勤務。しかし、球場を離れた今も大雨が降るたびに、「グラウンド状態は大丈夫か」とつい気になってしまうという。今夏も熱戦が展開される。小泉さんは「思いっきりプレーをして、悔いのない夏にしてくれたらうれしい」と球児にエールを送った。