虐待に「189(イチハヤク)」対応を
児童虐待の相談ダイヤルとして7月1日から「189」の3桁が運用開始となった。従来の10桁から短縮し、相談しやすくする事が狙いだ。全国の死亡事例は年間50件を越え、1週間に一人の命が犠牲になっている児童虐待。小田原児童相談所の状況を追った。
児童虐待は「身体的虐待」、「性的虐待」、「ネグレクト」、「心理的虐待」と大きく4つに分けられる。2014年度、小田原児童相談所に寄せられた相談件数は259件。全国では「身体的虐待」が多い中、小田原児相では「心理的虐待」が129件と約半数を占め、保護の怠慢や拒否といった「ネグレクト」が75件とあとに続く。高橋文明所長によると、これは都市部の特徴だという。
「心理的虐待」には、言葉での脅しや無視などの他に、子どもの面前での夫婦喧嘩やDVが含まれる。近年こうした夫婦間の争いに警察が仲裁に入る機会が多くなり、結果として相談所にも通告されるケースが増加しているというのだ。「都市部には核家族が多く、夫婦間の問題が表面化しやすい」(高橋所長)。
14年度はこうした警察からの通告が10%減少。結果、前年度の総数306件から同様に約15%減と、改善傾向を示した。高橋所長は「夫婦間のトラブルが減ったのか、通報されなくなった結果が虐待相談件数の減少に直結している」と分析する。
しかし、相談件数の増減だけで全容を把握することはできない。近年は虐待の疑いがある時点で近隣が通報するなど意識が浸透してきた分、受付は増加。一方で被害者が声をあげにくい性質があり、潜在的な事案は計り知れないのが現状だ。
児相では相談を受けて48時間以内に現況を確認。行政や教育機関など地域と連携を取りながら、各案件に対応している。高橋所長は「地域全体で意識を持つことが大切。重篤なケースに発展する前に、相談ダイヤルを活用するなどしてほしい」と呼び掛けた。
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