乾燥のために回る扇風機の音がするものの、この人の周りにはまるで無音のように静謐な空気が漂う。時おり、こてが壁に当たる”こつん”。狭い足場を、右に左になめらかに動くのは、(株)長田左官工業(湯河原町土肥)の長田幸司さん(41)だ。
小田原城天守閣4階、摩利支天像を祀る空間再現事業は大工から左官工へとバトンが渡り、間もなく1カ月が経つ。土壁の下塗り、斑直し、中塗りを経て、間もなく漆喰が仕上がる。
幸司さんは、祖父が興した家業の3代目。思い出に残るのは、父が手がけた小田原城銅門での1日。下塗りの段階で団子状の土を壁に貼った、大学生のあの日を経て、卒業後3年間京都で修業した。
5〜600もある中から、道具を選ぶ。消石灰と、海藻の一種の角又(つのまた)、麻の繊維を混ぜ合わせた漆喰は気温や湿度で状態が変わる。「最も」適した選択と判断は、経験により培われたものだ。
大工仕事を仕切った芹澤毅棟梁(45)とは3年前に清閑亭の修繕で出会った。「仕事を見れば分かる」と話すように、分野は違えどもひとつの仕事を一緒にやっている気持ちで―。思いはしっかり受け継いだ。「美意識を高めなければ腕は上がらない」時間を作ってはさまざまな建造物を見て、研鑽を積む。
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