小田原市内にある自治会の総数は253。その活動は、社会問題となっている高齢者の孤独死防止や、災害時の助け合いにも有効とされるが、1998(平成10)年まで全世帯数の90%以上あった加入率は年々減少し、現在は78%となっている。市では加入促進に向けて策を講じているが、思うような結果につながっていない。
高齢者の見守り、ごみステーションの管理、お祭り・体育祭といったイベントの企画・運営など、多岐にわたる自治会の活動。児童の見守りもその一つだ。
4月26日午後2時過ぎ。すぐ脇を大型特殊車両や一般車がスピードを緩めることなく走る富水小の通学路に、黄緑色のベストを身にまとい、横断中の児童を見守る三宅哲夫さん(73)の姿があった。退職後、富水自治会の会員として児童の見守り活動を始めて約8年。「今ではすっかりライフワーク」と笑顔を浮かべ、児童一人ひとりに「おかえり」と優しく声をかける。
地域組織の「隣組」が自治会の前身。バケツリレーなど、日本人は戦時中から近隣住民同士が助け合いながらその時代を生き抜いてきた。その後、自治会として50年代後半に全国的に設置が広がった。小田原市も例外ではなく、58(昭和33)年に163の自治会と、22の連合自治会が発足した。
自治会に携わる市地域政策課によると、市内でも98年までは90%を超える加入率があったという。人口は減少傾向にあるものの、世帯数が増えている昨今。加入率が下がる理由の一つが、世帯構成の変化だ。大家族から核家族化、今では単身者が増加。60代以上が会員の多くを占め、高齢化が進む自治会において加入率向上のためには、「市外からの転居者や、30〜50代の『現役世代』の取り込みが必要」と市は分析する。
そのため、自治会を統括する総連合では、マンションやアパートが新築されるとわかれば、大家やオーナーに加入を打診。また加入促進のポスターを貼るなどし、今年の3月からは自治会加入を呼びかけるパンフレットも一新した。しかし、目に見えた結果が出ていないのが現実。「加入すると何かしらの役を任される」「面倒くさそう」といったマイナスイメージが先行しているのも加入率低下の要因となっているようだ。
「加入するメリットがわかりづらい」との声もある中、「登校時のパトロール、公園やごみステーションの清掃・管理など生活する中で、知らず知らず自治会の活動の恩恵を受けている」と、総連合の木村秀昭会長(75)。「会員の高齢化は否めない。メリットがある、ない以前に地域との繋がりを一人でも多くの方に持ってもらい、自分が住む自治会に興味を持ってほしい」と呼びかける。
先月発生した熊本地震。「災害に強いまちづくり」を推進する市政にあって、各地域を独自に網羅する自治会の存在は、未曾有の災害時にこそ、必要不可欠なのではないだろうか。
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