法テラス小田原の支部長に就任した 剱持 京助さん 杉崎茂法律事務所勤務 54歳
内に秘める厚い人情
○…弁護士の大量増員時代を迎え、競争激化によりサービス業としての色合いも濃くなりつつある一方、依然として残る法律事務所の敷居の高さ。離婚や借金などの法的トラブルが近年増加傾向にあるなか、「法的総合案内の窓口となるのが法テラス。社会的弱者を救う存在として、役目を果たしたい」と支部長としての意気込みを語る。
○…「社会正義の実現や、自由業へのあこがれもあったけれど、何より人と向き合う仕事をしたかった」と弁護士を志し、法曹の道を歩んで24年目を迎える。かつて、「物事のシロクロをはっきりさせるイメージが強かった」という法廷の場。だが、現実には裁判の半数以上が和解で決着しているという。「狭い社会だから話し合いで解決できればベスト。和解とは、相手に信頼する部分を見つけられてこそ成り立つのです」と話す横顔が、どこか嬉しそう。依頼者に対する姿勢は、いつでも弁護士ではなく一人の人間として。謹厳実直な性格ゆえ、「つい耳が痛いことを言ってしまい、関係が少しギクシャクしてしまうことも」と苦笑い。真面目を絵に描いた印象だが、内面には人情味があふれる。
○…横浜市出身。小田原の弁護士事務所に勤務し、間もなく四半世紀。「海も山もあってのどかな環境」とこの地を気に入っているが、休日の過ごし方はもっぱら川の散策という。「酒匂川や金目川を下流からたどり、植物や生き物を観察する。外来魚だけでなく、本来は西日本にしか生息しない魚を発見することもあって。川ってあまり注目されないけれど、おもしろいですよ」と表情が和らぐ。
○…小田原支部が発足して10年目。「認知されてきたとはいえ、地域にはまだ助けを求めている人がいるはず」。50歳を過ぎてベテランの域に達してもなお、「守りに入りたくない」という自身同様、「初心を忘れず、常にまだできることはあるという発想をもっていたい」と前を向く。
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