野生のメダカ保護を目的に、生息地となる休耕田の活用を続けている「桑原めだか米の会(山田純代表)」の酒米を使った日本酒が初めて完成した。10月1日の「日本酒の日」を前に、間もなく店頭に並ぶ。
市内桑原・鬼柳地区は、県内で唯一野生のメダカが生息している場所。小田原市ではこの桑原・鬼柳地区をメダカの保護区に設定、市の魚(淡水魚)に指定したり、市民から「里親」を募集したりするなど保護に努めてきた。
保護のためには田んぼや周辺の水路などの生息環境の維持が必要不可欠。だが、近年の農家の高齢化や農業離れに伴う休耕田の増加で、メダカの生息環境は危機に瀕していた。
2001年に発足した「めだか米の会」は、休耕田が拡大しないよう、メダカの生息地周辺の田んぼで耕作する農家から、相応の対価で米を購入、「めだか米」として、同会の活動に賛同する個人・団体に販売してきた。
その後、活動に賛同した兼業農家有志が「一般社団法人おだわら農人めだかの郷」を立ち上げ、既に休耕田となった土地を引き受けることで、耕作面積を拡げ、現在約2ヘクタール、収穫高は約9・5㌧まで拡大した。
酒造にラベルデザイン酒匂川流域でタッグ
「めだかの郷」が扱う田んぼが増えてきたことから昨年、約1ヘクタールを使い酒米『吟のさと』を作付した。
酒米はうるち米に比べ収穫時期が1カ月遅く、10月半ばまで取水できる環境が必要となる。「うるち米を作っている農家に迷惑をかけないよう取水するのが難しかった」と山田代表は話す。それでも約3㌧の酒米を収穫。地元の酒造会社の協力を得て、純米酒として販売できることになった。
山北町の(資)川西屋酒造店(【電話】0465・75・0009)では、特別純米『丹沢山 小田原桑原』として販売する。露木雅一代表は、真剣に取り組む会の姿を見て快諾したという。「小田原産の米を使うのは初めて。相模湾で獲れる魚と一緒に、冷酒で味わってもらえれば」と話す。
大井町の井上酒造(株)(【電話】0465・82・0325)でも井上寛代表が「微力ではあるが、地元の農業をバックアップしたい」との思いから協力を申し出、『純米吟醸 左岸』を販売する。「柔らかくて爽やかな味に仕上がったのでは」と話す。
酒の名前とラベルのデザインをしたのは、コピーライターで市内板橋在住の村田幸一さん。村田さんは「めだか米の会」同様、メダカ保護のために活動する「めだかサポーターの会」の事務局長を務めている。『左岸』には村田さんが「めだかの郷」を紹介した小冊子が一緒についてくる。
すべて税別で『丹沢山 小田原桑原』は、一升瓶が3200円で1500本、四合瓶が1700円で500本。『左岸』は一升瓶が3600円で400本、四合瓶が1800円で1200本。『左岸』は10月1日から販売開始。
なお売り上げの一部は「めだか米の会」の他、メダカ保護のために活動している市民団体の活動資金に充てられる。
「めだか米の会」では、10月以降、新米の販売も始める。問合せは山田さん【携帯電話】090・9681・1848。
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