8月の公開後、興行収入145億円を超えた大ヒット映画『君の名は。』(新海誠監督)に、市内酒匂在住の岸健太郎さん(44)と小田原市役所に勤務する島田礼二さん(26)が音の出演を果たしていた。
2人は中井町出身。作品の映画音楽プロデューサーを務める成川沙世子さんも同郷で、3人は幼いころから地域の「藤澤囃子保存会」で太鼓や篠笛を演奏していた。成川さんの提案により同保存会の祭囃子が劇中使用されたという。
録音は今年6月、中井町の公民館で行われた。篠笛、太鼓、すり鉦あわせて8人。当時は制作中のため具体的な内容は聞かされず「いつも通りに演奏した」という篠笛歴15年程の岸さん。一方、島田さんは3年程の経験で「マイクを向けられ緊張した」と振り返る。使われたのは物語の序盤、田舎の祭りのシーンで数十秒。「不思議な感じがしました(岸さん)」「すぐ気付いた。うれしかった(島田さん)」。
毎年4月の五所八幡宮例大祭(中井町)がもっぱらの演奏の場。岸さんは「クレジットで保存会の名前を見て”残るんだな”と実感。世に出る物に残るのは滅多にない。いい経験でした」と笑みを浮かべた。島田さんは「すごい作品に携わったと実感が湧いたのは興行収入の報道を見てから。”たった”数十秒かもしれないが僕には”されど”。少しは力になれたかな」と照れくさそうに笑った。
市内では小田原コロナシネマワールド、TOHOシネマズ小田原で公開中。
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