新年の幕開けにあたり、本紙では加藤憲一市長にインタビューを行った。昨年を振り返るとともに、新年の抱負などについて語ってもらった。
――あけましておめでとうございます。2016年は市長選や、小田原城のリニューアルなどありましたが、加藤市長にとって、また小田原市にとってどんな1年でしたか。
「昨年は、市長選があったということで、私にとってとても重要な年でした。本来は選挙で2期8年の成果について有権者の評価を数字的に把握したかったのですが、無投票当選ということになりました。基本的に信任いただいたということで、3期目に入れたことは良かったと思っています。
地方自治体を取り巻く環境は、非常に難しい時代になっており、人口減少や少子高齢化、財政状況の悪化、公共インフラの老朽化など一時に押しよせている喫緊の課題をどうやって解決していくかが問われています。
小田原城「パワー感じた」
これから先の数年間を見越して、総合計画の後期基本計画の策定作業も始まっており、3期目は、2期8年の中で、動いた取り組みを、しっかり軌道に乗せ、盤石な形にしていく大事な時期になると思っています。
また熊本地震で改めて災害の備えの必要性を身近に感じ直した年でもあり、一方で小田原城のリニューアルオープンという大きな出来事で地域経済の活性化に大きく弾みがついた一年でもありました」
――3期目の4年間の重点施策は何ですか?
「新規に目新しいものというよりは、本来やるべきところでまだできていないものを仕上げることに力点を置いていきます。
大きな目標としては持続可能な地域社会モデルを小田原で打ち立てることです。それを支えていく幾つかのテーマを重点テーマに位置付けて取り組んでいくことになります。具体的には、入札の不調後、時間をかけてしまい、市民の皆さんにご心配いただいてきました芸術文化創造センター、今は新しい方針転換の中で市民ホールと呼んでいますが、これを2019(平成31)年度までに間違いなく着工することが私の責務だと思っており、やりきるつもりでいます。
市立病院の建替えも「待った無し」で控えている重要案件で、着手の見通しをしっかりつけていきます。 南足柄市と協議が始まった中心市の在り方の議論も大きなテーマで、任期の前半でしっかり方向性を定めていくことになります。県西地域の未来を見据え、合併する・しないの結論はどうあれ、基礎自治体としてしっかりした姿を打ち立てなければならないと考えています。
地味な分野ですが26ある連合自治会単位の地域コミュニティの姿をゆるぎないものに作り上げていくこと。これは行政だけでなく地域の皆さんの力無しではできないので、しっかり一定程度の到達点に至りたいと思っています。
商工会議所などから提案いただいている観光を切り口にした地域活性化の取り組みもしっかり形にしたいと思っています。観光客が小田原に来た時にわかりやすい回遊ルートや城下町らしいまちづくりなどを目に見える形で作り上げていきます」
――5月1日にリニューアルオープンした小田原城を軸に、昨年は多くの観光客が訪れたように思います。
「天守閣の入館者は単純に以前の同期と比較して1・8〜2倍に跳ね上がっています。城周辺の人出が増えたことで、ハルネ小田原の大幅な売り上げ増加など確実に地域の経済に大きな力を感じています。正直、リニューアルの効果は想像を超えており、改めて小田原城のパワーを実感しました。
一方で駐車場や誘導表示、わかりやすい回遊ルートなど多くの来訪者を受け止める部分が未整備であることもはっきりし、こういった部分はしっかりと、しかも急いで整えていかなければならないと思っています。
1、2年ではできませんが、小田原駅から北条ポケットパークを通り、お堀端を抜けていく正規登城ルート、そこからかまぼこ通りへ入っていく生業の集積したエリア、小田原らしさの残る西海子通りから板橋方面など、誘導をはっきりさせ、その周辺の店舗や建築物の整備を充実させるための制度作りや国からの補助金獲得などをする必要があります。
京都や金沢など歴史のある観光地と比べて決定的に足らないのが、休息や一服するカフェ的な場所です。小田原駅周辺には少しありますが、小田原城から海の方まで向かうとあまりなく、西海子通りや板橋方面にはほとんどないので、ぜひ欲しいです。
もともと小田原は、茶の湯が盛んで和菓子店も数多くあり、喫茶もできました。器も含め、文化を支える要素をたくさん持っていますが、今ではそれを楽しむ場所が少なく、お茶を飲む場所、休む場所を作っていくこともおもてなしにつながると思っています。今後は空き店舗の活用などを視野に入れながら取り組みを検討していきます。近年は清閑亭も喫茶の売り上げが伸びてきており、小田原にきてゆっくり腰を落ち着けて雰囲気を味わう場の設えが必要で、民間の方にも一緒に取り組んでいただきたいと思っています。
昨年、観光戦略ビジョンを作成しましたが、その中で小田原城や宿場町の名残、長い歴史をかけて培ってきた生業や生活文化、四季折々の風情など、小田原が日常、潜在的に宿している価値や魅力をきちんと観光の形で表に出していくことが大事だと謳っています。日常に根ざした観光の魅力づくりと再構築を行うことで、小田原城への来訪だけでなく、街なかの回遊ルートや生業体験の機会を創出することで、何度も小田原に訪れてもらい、小田原を愛する『小田原ファン』を増やすことも重要です。
天守閣への来場者が増えたことで、かまぼこ通り活性化協議会や小田原青年会議所が城周辺で活発な活動をしていただいており、今後もしっかり連携しながら市全体で盛り上がっていきたいと考えています」
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