小田原かまぼこ通り活性化協議会が、新たな一手を繰り出した。新店舗を立ち上げ、その利益を活性化事業の経費へ。事業予算を拡大することで、街おこしのスピードを加速させたい考えだ。
小田原駅東口からすぐの東通りに、おでん屋が2月1日にオープンした。その名も「小田原おでん本陣」。メニューには、伊勢兼の『ふんわり鶏つみれ』、わきやの『もっちり食感の笹垣ごぼうさつま』、杉兼の『地あじの特製ちくわ』…。かまぼこ店が練り物の技術を活かしたオリジナルおでんダネが並ぶ。菅野奈津希店長(26)は「ほかでは食べられないものばかり。おいしいですよ」と自信を覗かせる。現在はランチ営業のみだが、3月からは午後9時まで延長し、小田原蒲鉾協同組合の全12社の逸品が出揃う予定だ。
新店舗を経営するのは、鱗吉(うろこき)の田代守孝さん(41)とわきや蒲鉾店の脇谷和孝さん(41)。ハルネ小田原の「小田原かまぼこ本陣」も2人が手がける。おでん本陣では、利益の一部を活性化協議会にまわし、イベントや広報費に充当。これまでの年間予算は補助金を除くと約200万円だったが、利益を加えて400万円に倍増させ、活性化を加速していく。
かまぼこづくりを生業とする2人の飲食業挑戦は、活性化事業の資金捻出だけが目的ではない。駅前の新店は、本町から浜町にかけて各社の本店が並ぶかまぼこ通りに誘客するための”発信地”にも。風情ある街並み、かまぼこ店が販売する本店限定の練り物。もちろん、おでんダネも購入できる。
「本当に儲かっているのか!?」
田代さんを長とするかまぼこ通り活性化協議会は、発足3年。進化するエリアに光も当たり出した。
市内でまち歩きを主催する、小田原まちづくり応援団の平井丈夫さん(62)は言う。「外から来た人がかまぼこ通りをおもしろがる。宿場町の面影、ものづくり、海。おみやげもびっくりするほど買っていく」。かまぼこ通りも組み込んだツアーは、7年前には2カ月に1回ほどだったが、今では月に2〜3回まで増えた。また、小田原箱根商工会議所は、通りで創業を模索する「空き家ツアー」をあす12日(日)に初開催。中心メンバーの(株)旧三福不動産・山居是文社長(38)は「長く続いているお店が多く、ポテンシャルが高い」と話す。
関心が高まるかまぼこ通りだが、田代さんは冷静だ。かまぼこ店については「本当にみんな儲かっているのか。景気が後退し、諦めてしまっていたから下降したのではないか」といい、「今の上昇ムードを長い流行に変えていくには、人づくりが重要。子どもたちがお店を継ぎたい、ここで暮らしたいと思えるものを残していきたい」。