小田原版 掲載号:2017年3月18日号

数少ない7段の現役女性拳士として後進を指導する

室伏 江利子さん

堀之内在住

拳の道まっしぐら

 ○…宗道臣(そうどうしん)(1911-80)によって日本で創設され、今年70周年を迎える少林寺拳法。拳の修行を通し、勇気・慈悲心・正義感を養う”人づくりの行”として世界に普及し、拳士数は今や170万人に上るとされる。だがその大半は男性で、女性の有段者となれば、ほんの一握り。「私がやらないと誰も後についてこないでしょ」。そう笑顔で言ってのける彼女こそ、世界でわずか5人しかいない、7段の現役女性拳士だ。

 ○…「道着姿が本当に格好良かったの」。弟の付き添いで見学に行った道場で、男性に交じり修練に励む女子高生に目を奪われた。家業の新聞販売店を手伝い、同級生と遊ぶ時間もほぼなかった幼少期。この時を境に「道場が自分の居場所になった」。「どんなに大きな声を出しても、人をぶっても平気」という不思議な魅力に取りつかれ、中学・高校と脇目も振らず道場通いの日々を送った。

 ○…四国にある武道専門学校を志すも、その年女性の募集がなく断念、地元企業に就職した。転機が訪れたのは25歳。武道まっしぐらな”変わり者”の自分を一番に応援してくれた両親を相次いで亡くした。仕事を辞め、家に引きこもっては、しばし無気力な時を過ごした。「このままではいけない。自分を変えるには…」見つけた答えは、やはり少林寺拳法だった。女性の有段者が少ない中、昇級に挑戦し続け、史上最年少で7段に合格した。36歳の時のことだ。

 ○…挫折と再起。自身の経験を誰かに伝えたい。道場の副道院長として指導する傍ら、40歳を過ぎて資格を取得し、高校の養護教諭として働く。保健室にサボりにくる生徒には「時間を無駄にするな」と諭し、追い返す。「やりぬく意志」を子どもたちに説くと同時に、志半ばだった専門学校へ入学を果たすなど自身の修練にも余念がない。「いつか少林寺拳法部がある高校で顧問ができたらな」。生涯拳士が思い描く夢の一つだ。

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