小田原版 掲載号:2017年4月15日号

都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会で優勝した神奈川県代表のヘッドコーチを務めた

松澤 俊介さん

中里在住 42歳

この興奮をもっと、ずっと

 ○…体育館で見られるこの笑顔も、しばしのおやすみ。県代表を率いて全国の頂点に立ったヘッドコーチはこの4月、市教育指導課へ異動になった。14年間関わってきたチームスタッフの「まっちゃんが最後だから、ここはひと花」という意気をひしひしと感じた。「周りが立ててくれて、組織でつかんだ優勝」と表情は達成感に満ちる。

 ○…なんとなく山北町の実家、スーパーマーケット・まつざわを「継げばいいかな」と思っていた青年のベクトルは大学でくるり。中学で始めたバスケは仲間に恵まれ、気付けばその興奮や感動の虜になっていた。思わず拳を握る「うぉぉぉ!」という高ぶり、ハイタッチ、心の底からの喜び。「この心地よさを、おっさんになっても味わっていたい」。そう思い見つけた職が教師。20年間で湯河原、鴨宮、白山中学校に務めた数学科のバスケ部顧問は、心酔した興奮と感動の遺伝子を、生徒とのかけがえのない日常でばら撒いてきた。

 ○…平日の「貯蓄」は、土日のため。愛妻と2人の愛娘の前では風呂掃除に洗濯、朝食準備と家事を率先。しかし「平日に貯めても、部活で土日を空けてしまうから赤字」と少しの後ろめたさの中にも充実した父の顔がチラリ。娘が生まれたころ、担任を持った学級で非の打ち所のない生徒に出会い「どういう風に育てれば君みたいになる?」と問うて教わった父親像だ。

 ○…心残りは白山中の選手。湯河原でも鴨宮でも優勝に導き「ここでも優勝させてあげたかった」と唇を噛む。かけた最後の言葉は「県西優勝」。恩師を見つめうなずく松澤チルドレンがそこにいた。ただ、見ているのは眼前の栄誉だけでない。「自分を支えてくれたバスケの裾野が広がってほしい。高校で続け、指導者になって、親になって子に教えて」と撒いた種の開花を心待ちにする。新しいコートに立った今春。「今を一生懸命やるしかない」と凛々しい表情に覚悟をみた。

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