報徳博物館(南町1の5の72)で6月11日(日)、「軍用機『報徳号』をめぐって」と題した公開講座が開催される。日中戦争が勃発した当時、国民が戦争へ加担していった様子を同博物館所蔵の資料を交えて解説する。
一般教養などを幅広く学ぶ場として毎月企画されている「報徳ゼミナール」の通算537回目。今回は日中戦争勃発からまもなく80年を迎えるにあたり、同博物館学芸員の飯森富夫さんが軍用機「報徳号」にまつわるエピソードを語る。
日中戦争は1937年7月7日に勃発。「一致団結して困難を乗り越えよう」という趣旨のスローガンを掲げる国に呼応し、軍事費にあてる寄付集めの動きが全国で盛んに行われるようになった。浅草の劇場では、寄付金にあてるために特別席を設けたという記録も残っているという。
こうした流れは、二宮尊徳の教えを実践しようと各地で活動する報徳社も例外ではなかった。同社発行の月刊誌『報徳』の同年9月号では、軍用機の製造資金を集めようと、加盟する団体や個人に寄付を呼び掛ける記事が掲載された。
翌10月号では寄付者の名前を掲載。約2カ月間で、関東および東海地方の関係者から3万5847円7銭の寄付が集まった。戦闘機1機分に必要とされる費用は7万円。目標には満たず、「報徳号」と命名された軍用機の誕生は幻と終わったが、取り組みに対して陸軍から贈られた感謝状は同博物館に所蔵されている。
尊徳の基本的な教えとは物事を全体として捉え、個の好き嫌いではなく相手の立場を考え、良いところを互いに活用しあうこと。こうした思想と対極にある戦争に加担した事実について飯森さんは「戦争は基本的な考えも変えてしまう。こうした経験をもとに我々がすべきことを考えたい」と話す。午後2時〜。参加無料で事前予約不要。(問)報徳博物館【電話】0465・23・1151
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