第99回全国高校野球選手権神奈川大会の組み合わせ抽選会が6月10日に行われ、出場189校(うち小田原市内は5校)の対戦カードが出揃った。
相洋は昨秋に横浜、今春は平塚学園に県大会で敗れ、苦杯をなめた。そして、集大成となる今夏も勝ち進めば5回戦で平塚学園、準々決勝で横浜との対戦が予想され「打ちのめされた相手」と再び、対峙するチャンスがやってくる。
練習する穴部球場の部室内に部員の発案で掲げられた、開幕日までのめくりカレンダーは残り「25日」を示していた(取材日6月13日)。この日は第一次メンバー発表日。しかし、「めくっても抜かりがあったら夏は来ない」。そう話す高橋伸明監督から、「相洋の野球を出し切る準備ができたぞ」というサインはまだ出ていない。どの場面で出されるか。現在、「足りない力を付けている」真っ只中のチームは最終段階に差しかかる。春の敗退から2カ月―。背番号は一度、選手に託されたが部内での争いはもちろん、サポートに回る選手らの戦いはこれからさらに激化。投手陣は「不安なく」、野手は「どれだけ振ってきたか」が試される。技術、体力、心の強さ。すべてが一体となりプレーとプレーが「つながる」その瞬間、「制限のない相洋の野球」が体現される。
環境整い、増す勢い
昨年、創部以来の悲願だった「夏の1勝」をあげた旭丘。これまで少人数で、マウンドもないグラウンドをサッカー部と共有し練習に励んでいたが、状況は一変。1年生20人が入部し、部員は32人に増え、週に1回南足柄球場を利用して、より実戦的な練習が可能になった。湯澤恒希主将(3年)は「練習の幅が広がった」と目を輝かせる。選手層も、中学時代にシニアやボーイズリーグで硬式野球経験を積んだ1年生が入部したことで厚みを増した。うち10人は今年新設された「大学進学クラス・スポーツコース」所属。彼らは週2回(他の部員は週1回)、午後の授業時間も”選択”の一コマとして練習する「スポーツインターンシップ制度」が採用され、より野球に打ち込む時間が確保されている。チーム内での競争も生まれ「勝利への意識がより高まってきている」(平野正貴監督)。あれから1年、初勝利にコース新設も相まって、ナインの表情にも一層充実感が漂っている。
3年生が3人と例年になく少ない西湘。昨秋は一時、部の存続すら危ぶまれたが、部員14人で春まで今まで通りとはいかずとも練習に工夫を重ねた。冬から続く「目標を毎日口に」の成果が今夏実るか。小田原城北工では今春使われていなかった相撲場をトレーニングスペースに整備。建設科の生徒が手掛けた屋根付きブルペンなど、手作りの施設で一勝をめざす。神奈川大会開幕は7月8日(土)。99回目の夏は、もうすぐそこだ。