小田原市・南足柄市「中心市のあり方」に関する任意協議会の第9回会議が8月10日、小田原市民会館で開催された。会議として最終回となったこの日は、市民周知用冊子(案)と新市まちづくり計画(案)が承認された。
2市は昨年10月に任意協議会を設置し、行政、議会、自治、経済、福祉、教育などの分野から33人の委員とともに10カ月に渡り「中心市のあり方」を議論してきた。人口減少や高齢化が進行するなか、両市の現状の財政のままでは、行政サービス水準の維持が困難となる見通しがあった。この状況を打開する対応策として、行政が有効と考えた「究極の行財政改革」という合併についてや、中核市への移行、周辺自治体との新たな広域連携体制の構築などを協議してきた。
150億円の財政効果額
合併は南足柄市域を小田原市に編入することを想定。子育て・教育、市民自治・地域経営、環境・衛生、経済、福祉・医療、暮らし・防災、文化・生涯学習、都市基盤など3270件の事務事業の統合を調整してきた結果、年間約18億円の経費削減が見込まれる結論を得た。さらに、合併後10年間の累計では約150億円の財政効果額が見込まれている。
協議会が4月に行った両市民へのアンケートにおいて、合併を考える上で重要視する点として多くの回答があったのは、合併後の市の行政サービスの水準。これについて協議会は、合併しても「一部サービス水準が低下するものもあるが、概ね向上する、または変化しない」としている。
「問うていく姿勢が大事」
協議会はこれらの議論の結果をA4冊子(52頁・発行10万冊)にまとめ、小田原市では広報紙9月号と同時に配布または公共施設などに配架。9月中には市民説明会を開催し、10月に合併の意向を問うアンケートを実施。その後合併を是とする判断がされれば2018年度以降に法定協議会を設置し、2020年度中に想定する合併について個別具体の準備作業へ向かう。
加藤憲一小田原市長、加藤修平南足柄市長とも9回にわたる会議や膨大な事務事業の調整で得られた財政効果を認める一方で、新市の細部にわたる肉付けに関しては、議論の余地ありという見解を示した。
10日の会議終了後に加藤憲一市長は「9回の会議を通じて県域が抱える難しい局面を乗り越えていくための検討をさせてもらった。今回の協議会で議論された結論を正確に市民の皆様に伝える。伝えて同意を求めるのではなく、こういった選択肢があるので皆様はどう考えますかと問うていく姿勢が大事」と話した。
協議会ホームページはhttps://www.odawara-minamiashigara.jp/