小田原版 掲載号:2017年9月2日号

扇の要 甲子園4強導く スポーツ

東海大菅生 鹿倉凜多朗君

初めてサインをしたボールを手に微笑む鹿倉君
初めてサインをしたボールを手に微笑む鹿倉君
 「追いついたら勝てると思っていた」。第99回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)の準決勝(8月22日)。東海大菅生(西東京)は4強まで勝ち上がり、花咲徳栄(埼玉)と対戦し、9回裏に同点に追いつくも延長11回の末、6―9で敗れた。

 マスクの奥には凛々しい顔立ち。鹿倉凜多朗捕手(鴨宮中出身/3年)が甲子園でも試合を支配した。「緊張したのは初戦(高岡商)の入りだけ」。連日4万人超えの大観衆を背に、扇の要を全うした。「仲の良い」エース松本健吾投手(3年)と阿吽の呼吸を見せ、打っては2回戦の青森山田戦で2安打を放つと「1本出てほっとした」と微笑んだ。

 相手の足を使った攻撃にも鍛え上げた強肩が唸りを上げ、行く手を次々と阻む。全国4強へと導くも「ここまで来たら優勝したかった」と心の底には悔しさが残る。準決勝後には秦野リトルシニア時代から「辛い時こそ支え合った」主将・小玉佳吾内野手(3年)に「6年間、ありがとう」と伝えた。

 2年前、西東京大会決勝で先輩たちが逆転負けを喫し、あと一歩で甲子園出場を逃した姿をスタンドから目に焼き付けた。「この中でやってみたい」と胸を高鳴らせた。

 寮生活を送る部員は全体練習後、消灯時間の午後11時以降も自主練習に励んだ。春の都大会ベスト16敗退を機にメンバーも次第に増え、毎晩のように時計の針は深夜1時を指したが、チームは自然と同じ方向を向いた。

 そして、迎えた最後の夏。同じ舞台で早稲田実との決戦。「全く恐れることはなかった。菅生の大声援が力になった」と西東京代表の座を掴み取り、甲子園で見せた底力。「人生で一番の夏でした」。2年半、グラウンド内外で指示を出し尽くしたその声は擦れていた。

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