1967年3月16日、報徳二宮神社で3兄弟が合同結婚式を挙げた。
「いつまでも仲良く助け合っていくために」。あれから50年、将来を誓い合った思い出の地に再び集い、そろって金婚式を祝った。
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うららかな日差しの中で微笑む夫婦は、長男の飯塚武弘さん(77)・稔子さん(71)、次男の飯塚文弘さん(75)・トミ江さん(75)、三男の飯塚雄三さん(73)・貴代美さん(72)。50年前、それぞれ結婚を考える相手がいたことから、親の勧めで一緒に式を挙げることになった。
「親戚が多く、何度も集まってもらうのは申し訳ないから、まとめて挙式を済ませようという親父の考え。後から知ったことだけれど」と雄三さん。祝福に駆け付けた大勢の親戚に見守られるなか白無垢で臨んだ結婚式を、トミ江さんは「長襦袢の上にタオルで補正していたから、式の間も苦しかった」と笑顔で懐かしむ。式を終えると6人で、小田原駅から開業間もない東海道新幹線に乗り、そろって新婚旅行へ出発した。
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二人左脚で人生を歩み、今は全員70代。総勢13人の孫にも恵まれた。厚木や秦野で暮らし、皆で集まる機会は数年に1度。「口では言えないので、形あるものを」とサプライズの花束を受け取った妻たちは、「50年色々ありましたが、うまくやっています」と恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
神社も初の経験
「なにしろ、3組合同の挙式は初めてでしたから」。当時、結婚式で巫女を務めた草山幸子さんは、「三三九度や玉串奉奠(ほうてん)を、どういう順序でやれば良いのか。色々考えた末、3組同時で行うことに決まった」と振り返る。神殿にずらりと並んだ3組の新郎新婦の姿は、今でも記憶に鮮明に残る。50年の節目に立ち会えたことに、「感慨深いですね」と目を細めた。