フリーのバスガイドを務める 石井 八重子さん 南足柄市塚原在住 74歳
バスに身体を揺らし50年
○…「この間も風の盆に行ってきました」。満面笑顔で旅のエピソードを語る。伊豆箱根を定年退職した後もバスツアーに乗車。長年のガイド歴からファンが増え、ガイドを請われることが多くなった。近年は自らが添乗するバスを”八重ちゃんバス”と称し、今でも年間20回以上のバスに乗っている。「ボランティアの添乗員です。運転手やお客さんとのふれあいが生きがいに。自分も楽しめ、お客さんに喜んでもらえることが何よりうれしい」。
○…伊豆稲取の漁師の娘に生まれる。16歳で駿豆鉄道(現伊豆箱根)に入社。最初は車掌を勤め、19歳でバスガイド一期生になる。「『東京のバスガール』の歌が流行った頃です。専門は箱根や伊豆方面。当時の小田原駅は新婚旅行のカップルなど常に旅行客がいて、賑わってましたね。旗を持って迎えにいきました」と懐かしそうに振り返る。大涌谷でボンネット型のバスの前に立つ白黒の写真は、ほっそりとして初々しい。
○…23歳で結婚し育児などで家庭に入った後、6年後に復職を。現役のガイド時代に習っていた民謡の師匠が小田原ちょうちん踊りをつくった関係で、踊りの発足当時からのメンバーでもある。ちょうちん踊保存会の指導員で司会などもこなす。ちょうちん踊りの遠征ではハワイやロサンゼルスにも行ったことがあるという。数年前から小田原観光大使にも任命されている。
○…「いい文章だな」と思ったら、すぐにメモを取るという研究熱心。関東、東海、東北方面など行き先別のガイド資料をノートに書き留めているので、どこに行ってもすぐに役立つ。テンポのある小気味のいい語り口から”女版、綾小路きみまろ”の声も。15分続くという名調子「唐人お吉…」は18番だ。中年太りから歩行が辛くなっているが「太っているのはトレードマーク。市の金太郎さんのPRにもこの体系がいい」と笑い飛ばす。「後3年は頑張りたいですね」