逼迫する県財政の改善を目的に県が9月27日に公表した緊急財政対策案において、既に廃止が決まっている5つの県有施設に加えて、新たに山北町の「大野山乳牛育成牧場」を含む4カ所が廃止検討施設に挙げられた。対策案は県民や利用者、関係機関などへの説明・調整を行い、可能なものは2013年度の当初予算に反映される。
同案は、県財政の抜本的見直しのために県が設置した県緊急財政対策本部が、外部有識者からなる調査会の提出した「県有施設の原則全廃」「県単独補助金は一時凍結のうえ抜本的見直し」等の最終意見を踏まえてまとめたもの。文中では2013、14年度の財政見通しを2カ年で1600億円の財源不足が生じると推計。すべての県有施設に対して「廃止」「移譲」といった検討の方向性を示し、各種補助金については「特に重点的に見直しを検討」「総合的視点から見直しを検討」等に振り分けた。
県有施設の見直しで新たに「廃止を含めた検討」とされたのは、大野山乳牛育成牧場と同牧場まきば館、産業技術短期大学校人材育成支援センター(藤沢市)、津久井馬術場(相模原市)の4カ所となった。
同牧場は1968年に設置され、県内の酪農家から乳牛の雌子牛を預かって育成する事業を行っている。また県民が自然とふれあいながら畜産業に対する理解を深められる施設として、2007年にまきば館が設置された。まきば館の入館者数は2011年度で延べ4万6142人。バター・チーズ作りや乳搾りなどを体験できる畜産交流教室を年間35回ほど開催しており、11年度には1330人が参加している。また毎年4月の「大野山開き」や10月の「大野山フェスティバル」などのイベントを通じて観光客や地域とも交流がある。同牧場が大野山の整備を担っている面もあることから、廃止となれば山野の荒廃やそれに伴う自然災害への対応も課題となる。
青木稔牧場長は「まだ廃止の時期などが決まったわけではなく、今後検討が進められていく段階。目前の10月27日には例年通り大野山フェスティバルを実施しますので、ぜひお越しください」と話している。
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