▽松田町と開成町が合同で開催する「あしがら花火大会」。15回目を迎えた今回も1500発を打ち上げ、5万5千人の観客を楽しませた。足柄上地域の住民が毎年楽しみにしている花火大会は、両町役場と実行委員会、地域の協賛者に支えられている。
▽この花火大会は松田町が始めた。1980年の「第3回まつだ鮎まつり」のフィナーレを飾った花火は「まつだ観光まつり」に引き継がれ、来年が35回目の節目となる。2000年からは協力に名乗りを上げた開成町が共催者として加わり、今に至る。花火大会には毎年、約750万円の費用がかかり、両町からの助成金と地域の企業や個人からの協賛金から捻出するが、台所事情は年々厳しさを増している。松田町の関係者は「今の所はまつだ観光まつりの協賛金や積立金を切り崩して補てんしているが、このまま収入が減れば、花火の打ち上げ数や尺玉のサイズ変更も考えざるをえない」と頭を抱える。
▽共催する開成町では00年から、花火が始まる前の時間帯に「かいせい納涼まつり」を開催。町内の飲食店や団体が出店し、ここ数年は音楽ステージなどのイベントに力を入れたことで徐々に来場者数を増やしている。まつりの歴史が浅いことや9月に「開成阿波おどり」が控えていることから、花火への協賛は松田町より少ないが、県内最小の町が名乗りを上げ、15年間、地域の花火大会を支えてきたことは特筆すべき点だ。両町では「地域経済の状況をみれば縮小もやむを得ない」という声がある一方で、「現状維持」や「規模拡大」を望む声も少なくない。来年で35回目を迎えるにあたり、近隣の市町も運営に参加してはどうだろうか。
▽花火大会の目的には住民の娯楽や交流、郷土愛の醸成、地域のPRといった目に見えないものが多く、運営の苦労や費用を考えれば、首長が新たに参加を表明し、市町内で合意形成を図るのは難しいだろう。一方で、2市8町の合併が破断し行政の広域連携が進む今、足柄平野のどこからでも楽しめる花火大会を新たな結束の起爆剤として捉えれば、今までなかった人の交流や行政間のさらなる連携の可能性も生み出せるのではないだろうか。
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