南足柄市議会は19日の本会議で、大型直売交流センターの営業面に関する計画の作成業務委託費851万円を含む一般会計補正予算案を可決した。
市議全員が出席した17日の大型直売交流センター特別委員会では「用地の見通しはたっているのか」との指摘や「用地の変更で近隣の商業施設に影響が出るのでは」、「場所が決まらない段階で県の支援や国の補助が受けられるのか」との懸念の声も相次いだ。
一方で「県の支援体制があるこの時期に事業を進める必要がある」、「このまま何もしなければ地域経済の疲弊から脱却できない」、「市長が不退転の決意で取り組むと言ったことを前向きに評価しよう」と早期実現を求める声もあった。
今後、この事業はどのように展開していくのか、現状と課題をまとめた。
前進も、課題なお山積
大型直売センター建設は農業振興と福沢地区の交流人口の増加を目指して市が計画した。地元農家も出荷する壗下の農産物直売スーパーの隣接地に、市が農産物直売所や加工所などを整備する計画だった。建設費は約3億3千万円で、2015年3月のオープンを目指し、地権者の同意や国庫補助も取り付けていた。
市は12年11月に基本構想と計画の概要を発表したが、ほどなく見直しに着手。県が推進する県西地域活性化プロジェクトの「道の駅整備促進」に新たな活路を求めた。
9月12日に加藤修平市長が決定した最新の基本計画では、大型直売交流センターを「地域振興拠点施設」と位置付け、新たに「道の駅」として整備する方針を定めた。施設用地も壗下から竹松交差点付近のエリアに変更した。
施設用地には、農産物直売所のほか地元産品の飲食コーナー、農産物加工所、会議室などを整備し、広い駐車場ではイベントなどを催し、地域活性化の拠点として運営する方針だ。 売場や駐車場の広さは、小田原市成田のJAかながわ西湘農産物直売所「朝ドレファ〜ミ♪」とほぼ同じ規模が見込まれる。
JAや農業者との連携に重点を置く「道の駅」は、「6次産業化の拠点」、「地域間交流の拠点」、「県西地域活性化プロジェクトの取り組みを進める場」と総花的な計画だが、端的に言い換えれば「農業振興型”道の駅”」として整備する方針に舵を切ったといえる。
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南足柄市の農業は、販売農家数や就業人口の減少傾向が止まらず、経営耕地面積は1990年からの20年間で4割以上減少。農業人口の82%が60歳以上と、かつてない厳しい局面にある。工業や商業の事業所数や人口の減少、観光客数の低迷にも決定打となる政策実施が急務ともいえる。
こうしたなか今年7月に市内7カ所で大型直売交流センターについて市が説明会(市政懇談会)を開いたが参加者は人口の1%にも満たない247人と振るわず、関心の低さを露呈した。 * * *
市は金太郎時計台付近の半径200m以内に新たな施設用地を求める方針だが県道に面する交差点ではスターバックスコーヒーが出店に向けて準備している。
そのため県道から南北に入った沿道農地に施設用地を求めることになるが、この場所は工業系の企業誘致を進める「足柄産業集積ビレッジ構想」の区域内にあり、開成町との調整や規制が厳しい農地の除外、転用に向けた手続きが不可欠。手続きには半年を要し許可の見通しも立っていない。
ほかにも周辺の商業施設への影響や計画変更にともなう国県補助金の確保、県の具体的な支援確保など課題は山積している。
南足柄市は大型直売交流センターの活路を「道の駅」の整備に見出した。
県内には「道の駅」が山北町と箱根町の2カ所にしかないため今後は足柄上地域全体を巻き込む連携も視野に入れる必要がある。
補正予算案の議決を受けて年度内に策定される事業実施計画で、市がどのような将来像を描くか。今後の焦点は計画の中身とその実現の手法に移る。
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