▽12月17日の南足柄市議会12月定例会の本会議で特筆すべき議案審議があった。市の第5次総合計画案がそれだ。この議案は16人の議員全員が出席して11日と12日の特別委員会で集中審査され、委員14人による採決で否決された。ところが、議員1人が欠席し委員長が表決に加わった17日の本会議では可否同数となり石田久良議長が原案可決と最終決定した。
▽議会が審議した第5次総合計画案は、加藤市長が2期目以降を標榜して示した長期ビジョンと重点施策からなる行政運営の指針だ。急速な人口減少に伴い現在の第4次総合計画を1年前倒しで廃止し、新たな計画を来年4月からスタートさせる考えだった。いわば、人口減少社会に立ち向かう加藤市長の「決意表明」であり市民生活にも直結する重要な計画だといえる。
▽前例にとらわれず喫緊の社会情勢に対応した加藤市長の政治判断は妥当で、その機動力は評価されていい。さらに想定人口や子育て施策の消極性を指摘して「否決」した特別委員会の総意もまた妥当だった。加藤市長はこのタイミングで原案を撤回して指摘点を見直し、選挙前最後の3月定例会で再提案する判断をしても良かった。本会議後に市長は「指摘点を念頭に置いて具体策に取り組む」とコメントしたが、それであればなおさらだ。
▽このように計画の問題を双方が認識するなか、特別委員会の保田建一郎委員長が本会議で原案に賛成の表決を示した。これにより可否同数となり、石田久良議長が原案可決を最終決定した。委員長と議長の職責は異なりそれぞれ尊重されるべきだが、いずれも委員14人による特別委員会の総意を覆す表決を示す以上、発言の機会がある本会議の場で、その理由を明確に示すべきだった。
▽本会議の採決を前に反対討論に立った星崎健次議員は「賛否が分かれるような総合計画では市民が不安に思う。英知をもって日本一の総合計画にしよう」と述べ「建設的な否決」に賛同を求めた。これが議会の本来の総意だったはずだ。名誉のため触れておくが本会議を欠席した議員は、病気治療のための欠席だった。こうしたなか議長が「可」と最終判断した第5次総合計画を、年末にもう一度、読み返してみようと思う。
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