旧南足柄市立北足柄中学校を使い昨年11月に公募絵画展イベントを開催した「2014あしがらアートの森」実行委員会がこのほど、イベントの開催報告をまとめた。そこには旧北足柄中の跡地利用のヒントがあった。
「あしがらアートの森」は、子どもや親子から絵画作品を募り、廃校になった校舎や体育館に展示する文化イベントで昨年が4回目の開催となった。
元美術教師ら主催者の人脈を生かした呼びかけにより、2011年の第1回目は512点だった作品数が昨年は1286点まで増えた。3回目までは作品数に比例していた参加者数に変化があらわれ、昨年は1740人と作品数より3割増加した。
期間中は作品の展示に合わせ、約20種類の体験コーナーを「森のワークショップ」として各教室に配置することで回遊性と滞在時間を延ばし、飲食ができる「森のレストラン」として地域の8店舗が参加。地域の住民も農産物の直売で彩りを添えた。
元美術教師で実行委員をまとめる中野裕一代表(64)=南足柄市塚原=は「アート活動を楽しむ親子連れでにぎわった。口コミによる親子の来場者が増えた」と手応えを感じている。
旧校舎を使った絵画展が一日を通して楽しめるイベントとして定着していることは、実行委員会が昨年11月の来場者を対象に実施したアンケート結果からも分かる。
近隣に広がり
アンケートに回答した1561人の内訳は大人870人、子ども691人。
地域別では地元の南足柄市が半数を超える828人で小田原市が339人、足柄上郡が237人、相模原、秦野、茅ヶ崎などその他の県内市町村から142人、東京や静岡からも15人が足を運ぶなど、周辺から南足柄を目指してやってくる人の動きも分かった。運営スタッフ179人には南足柄市内3校と山北、文命中の美術部生徒35人が含まれている点も特筆すべき点だ。
財政難で苦慮
旧北足柄中学校の利用に関するアンケートでは「環境が良く無限の可能性がある」「大切に残しつつ利用していきたい施設」「もっと活用されるべき」「クラフト市なども定期開催してほしい」など、40件の声が寄せられた。
2010年に閉校した旧北足柄中学校は、校舎2棟と体育館、校庭が当時のまま残されている。市によると、このうち校舎1棟と体育館は旧耐震構造で、人が常駐する施設として再生するには数億円の改修費がかかる。市と地元3自治会(内山・矢倉沢・地蔵堂)は2010年から学校の跡地利用について協議を重ね、宿泊可能な生涯学習施設や校庭の人工芝化などを検討してきたが、財政難で実現には至っていない。
こうしたなか市は「あしがらアートの森」などのイベントや映画、テレビの撮影、少年野球のグラウンド利用などを積極支援している。その念頭には常に地域活性化がある。
好機つかめ
今後は施設の安全性に理解を求めながら、ソフト事業による拠点づくりの加速が求められる。廃校舎の利活用は、国が進める地方創生の理念にも合うはずだ。
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