南足柄市中沼のタクシー乗務員露木五佳(いつよし)さん(64)に13日、松田警察署(山口康博署長)から感謝状が贈られた。小田原市久野の広域農道で行方不明者を発見、保護して自宅まで送り届けたことに松田署が謝意を示した。
松田署によると露木さんが保護したのは、開成町に住む認知症と見られる70代の男性。今年4月5日午後、小田原市内の入浴施設からいなくなった、と家族から警察に連絡があった。
警察から連絡を受けた小田原市が、5日午後7時10分に防災無線で行方不明情報を放送。この日、午前10時から乗車勤務していた露木さんが小田原駅西口でこの放送を聞き、男性の身長や体格、衣服などの特徴をメモしていた。
南足柄の三竹まで客を乗せ、小田原駅へ戻る途中に通った久野の広域農道で男性を発見した。その時の様子について露木さんは「反対車線の中央に人のような黒い姿があった。一度は通り過ぎたが行方不明者のことを思い出し引き返した」と話す。男性が情報の特徴と酷似していたため「どこへ行くの?」「家はどこ?」などとたずねたところ男性が「家に帰る」などと答え、特徴も一致していたことから会社へ連絡。通報した警察から会社を通じて得た住所をもとに、この男性を無事に自宅まで送り届けた。
露木さんが勤務する太陽自動車(株)=小田原市浜町=では「公共交通機関としての責務と同時に、地域社会への貢献も担っている。乗務員として模範的な行動だった」としている。
声掛けは社会貢献
松田署の山口康博署長は「県下一広い管内で山間部も多い地域で捜索範囲も広い。認知症などによる高齢者の徘徊は社会問題でもあり、声掛けを積極的にして頂き無事保護できたことは大変にありがたいこと」と話している。
今年5月5日に定年退職する露木さんは「節目の時期にこのような社会貢献ができて嬉しい。これからの人生でも何らかの形で地域に貢献したい」と話し、定年後も嘱託職員として乗車勤務を続けるという。
松田署管内では今年に入り47人が行方不明者として保護されている。およそ半数が認知症の高齢者で、氏名は言えても住所が言えないケースが多い。
保護された男性は小田原駅近くから久野までサンダル履きで移動していた。
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