南足柄市内の自治会長経験者でつくる「自治会長オンブズマン」(込山勉会長)のメンバー15人が21日、県境を接する静岡県小山町を訪問し、同町が取り組む防災対策について専門家から話を聴いた。
メンバー15人は、今年3月まで小山町で危機管理監を務めた新井昇さん(60)を訪ね、土砂災害の現場も視察した。
新井さんは陸上自衛隊の元自衛官で2009年に小山町が部長級専門職「防災監」として招請した。今年3月までの6年間で「地域防災計画」の策定や「総合防災訓練」、「地域防災訓練」の計画立案で指揮をとり、町内が被害を受けた10年9月の台風9号(激甚災害)でも陣頭指揮をとった。 静岡県内では、新井さんの実績をもとに元自衛官を危機管理監に迎える動きが広まっている。
”話し合い”強調
新井さんはメンバーを前に「計画も訓練も住民との綿密な話し合いが大切。南足柄市に影響があるのは富士山噴火時の融雪型火山泥流と風水害。相模トラフ沿い地震でも小山町と同程度の震度7が想定されている」などと話した。
人口約2万人の小山町では今年2月までに地区別の土砂災害ハザードマップを作成し、3月には町内全域で最大震度7の揺れが想定される「相模トラフ沿い地震」と風水害、富士山噴火も想定した「防災対策ガイドブック」も完成し全戸配布した。さらに、森林整備による「山地強靭化総合対策」を進めるなど、包括的な防災の取り組みが全国から注目されている。
市長に進言も
4年前に発足した自治会長オンブズマンには約60人の会員がいる。「防災」を活動のテーマに掲げ、勉強会や視察を重ね、昨年12月には加藤市長と面会して「地域ごとのハザードマップ作成」と「危機管理監の創設」を進言した。
南足柄市では11年9月に市全体の「防災ハザードマップ」を作成。昨年は岩原地区で地域住民が地域内の危険個所を洗い出す、手作り防災マップ作りを支援した。市防災課では「オンブズマンの皆さまとは日ごろから話し合いをさせて頂いている。引き続き情報交換をしながら防災への備えを強化したい」としている。
オンブズマンの岩田静夫さん(75)=同市班目=は「小山町の事例から、行政がその気になれば、予算をかけずとも綿密な防災対策ができることがわかった。今後も地域の地形や歴史、実状を考慮した防災対策を働きかけたい」としている。
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