あしがら花火大会が開催された8月22日に、南足柄市に住む17歳が野外音楽祭の舞台にあがった。傍らには娘を見守る母親の姿があった。
開成町納涼まつりの共催イベントとして開催された「あしがら未来音楽フェスティバル」に南足柄市和田河原の吉田夏女さん(17)が出演した。水辺公園の特設舞台に上がった夏女さんは、ミントブルーの愛用ギターで弾き語り3曲を披露した。
小学6年生で「全般性不安障害」の診断を受けた。慢性的に不安が続き、体調にも異変をきたす心の病だ。そのまま通学できなくなり小学校を卒業。進学した中学でもほとんど学校へは行けず自宅で過ごす日々が続いた。「行きたい気持ちはあっても、どうしても行けない。それが本当につらい」という。
中学生になった夏女さんに、両親がギターをプレゼントした。
「中学では吹奏楽部でフルートを吹きたかった。でも学校に行けないから、もともと興味のあったギターを買ってもらった。見よう見まねで覚えて毎日弾くうちにできるようになりました。ボイストレーニングも受けたいけどまだちょっと無理かも」と夏女さん。
ネット配信も
自宅で弾き語る模様を「なつめ」として動画サイト「ユーチューブ」や「ツイキャス」で配信する。オリジナル楽曲もあるが「まだまだ恥ずかしくて出せるレベルじゃない」とはにかむ。無邪気さが入り混じる澄んだ歌声に、音楽フェスにはファンも駆けつた。
春先のある日、近所に住む幼なじみの男子高校生が南足柄の狩川での演奏を勧めた。母・孝江さん(43)が見守るなか3人で河川敷へ向かい、和田河原の駅前でも歌った。路上ライブの様子が会員制交流サイト「フェイスブック」で紹介され、音楽フェスの主催者が出演を依頼した。
「大きな1日」
8月22日の舞台は、主催者の柳川恒さん(38)と母・孝江さんが見守るなか始まった。柳川さんは「当日に向けて不安もあったと思うけど最後までやれて本当によかった」と安堵した。
不安を乗り越え、緊張の面持ちで舞台に上がった夏女さんは「すごく楽しかった。またライブしたい」と晴れやかな表情で目を輝かせた。
孝江さんは「家族にとっても本当に大きな1日。本当に嬉しい」と目を潤ませた。「同じようなことで悩んでいる子の励みになれば」と2人で取材に応じた。
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