▽南足柄市で先ごろ市政懇談会が開かれ、市が合併を含む新たな広域連携を俎上に載せた。従来の自治体間競争を改め、圏域全体で市民サービスを維持し経済発展も目指すという。1期目の加藤市長は合併よりも、足元を強固にする財政再建を目指し着手してきた。その結果は必ずしも楽観視できない。その上で2期目の選挙公約では「合併」も選択肢とした。人口減少や財政悪化はもはや南足柄市だけの問題ではなく、近隣自治体の多くも同様の課題を抱えているため、そこに一石を投じたといえる。
▽市は市政懇談会で、地方創生の一環として国が示した「連携中枢都市圏構想」を引き合いに出した。この制度は人口20万以上の地方都市が「中枢都市」となり、国の財政支援のもとで周辺の小規模自治体と「連携協約」を結び、地域経済の活性化や行政サービスの向上を図る新たな地方自治制度だ。こうした制度を活用して引き続き小田原市とともに「県西の中心市としての責務を果たす」とした。仮に「中枢都市」を目指すのであれば、制度上、小田原市との合併が不可欠だ。
▽従来の市の在り方を大きく変える「合併」を議論するには、市民レベルでの議論の盛り上がりが不可欠だ。さらに「合併」後を見据えた周辺自治体との協議も同時に進める必要がある。現時点で市長は「小田原市と合併して中枢都市を目指す」か「小田原市の近隣市として連携協約を結ぶことを目指す」かの方針を明確にしていない。1期目の財政運営を総括した上で、政治判断として方針を明確にすればより建設的な議論ができるはずだ。
▽小田原市の加藤憲一市長は同市議会で、2014年6月から南足柄市と小田原市が「県西地域における中心市のあり方研究」に着手したことや「合併により中心市の行財政基盤の強化を図り連携中枢都市圏の形成を目指すことが望ましい」との最終報告を今年1月に受けたこと、さらにその報告内容に同調する答弁をした。この動きが今回の市政懇に反映されたといえる。今後は市内の議論とあわせ近隣町との調整にも配慮する必要がある。2市8町での合併検討会の解散から5年。南足柄市として政治判断の時期が迫っている。
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