JR御殿場線「山北駅」裏の鉄道公園で静態保存されている「廃用蒸気機関車D5270」が、来春にも”奇跡の復活”を遂げる―。町の2015年度補正予算に地方創生の交付金を活用した「D52奇跡の復活事業」の費用3700万円が計上され、議決を経て工事に入る。
鉄道公園には日本最大の貨物用機関車として活躍したD52型蒸気機関車がたたずむ。1944(昭和19)年に製造され山陽線、東海道線を経て、51(昭和26)年からは御殿場線の国府津〜沼津間で活躍した。電化に伴う68(昭和43)年の廃車までは旅客列車も引くなど地域でも親しまれてきた。
1970(昭和45)に旧国鉄から山北町に機関車が無償貸与されると町が鉄道公園を整備。以来45年間にわたり静態保存され、1995年には腐食を防ぐための屋根が設置された。
町内の国鉄OBらが1971(昭和46)年に「鉄道公園保存会」を発足。年間を通じて蒸気機関車の清掃奉仕を担うなど、かつて”鉄道の町”として栄えた誇りを語り継いできた。
地方創生を活用
そうしたなか町では国の地方創生で交付される補助金に着目。「鉄道の町と言われ栄えた時代を思い起こし、歴史を再認識してもらおう」と、静態保存から動態保存への移行を検討。国に事業計画を申請し、今年11月に補助金の交付決定を受けた。
関連予算の議決を待ち年内にも工事に着手し、機関車に大型コンプレッサー2基を設置。石炭ではなく圧縮空気で動力源を確保する。さらに動輪2回転分(12m)のレールを敷き、5mのピットを設置する。
町は「D52が動態保存されている場所はない。動けば価値が倍増する」と意欲を見せる。議会に上程した関連予算は総額3700万円。保存状態が良く整備費は相場よりも安価だという。
鉄道公園保存会の会長で東海道新幹線開通時の新大阪発東京行き1番列車「ひかり2号」の運転手を務めた関亀夫さん(82)は「いい話題。できればもう少し長く走れるといいですね」と、復活事業に期待を寄せる。工事は来春に完了する予定で今後は観光資源としての活用を模索する。
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