歌手デビュー10周年を迎えた 南川 翔さん 山北町皆瀬川在住 70歳
駐在さんから演歌歌手に
○…まちの”駐在さん”から演歌歌手に転身してから10年が経つ。退官後に開成町でカラオケスナックを開業し、プロの歌手としてテレビやラジオで活動を続けてきた。あす2月21日には南足柄市文化会館でデビュー10周年を記念した「あしがら歌謡祭」がある。異色の転身でもあり周囲の目は必ずしも良いものばかりではなかった。「話が尽きない」と苦笑いするほど苦労もあったが「応援してくれた皆さんへ感謝の気持ちを込めて歌う」と意気込む。
○…芸名の「南川翔」は師事する作曲家にゆかりがある。開成町役場の隣で営む店の常連からは、本名よりも「翔さん」と呼ばれることが多い。幼いころ、母親の背中で聞く歌が好きだった。小学校1年生と6年生のときには「NHK子どものど自慢」に出場。その後の歌は趣味の域を出なかったが、艶のある歌声に惚れ込んだ作曲家が楽曲を提供した。定年退職を2カ月後に控えた2006年2月に「南川翔」が誕生した。
○…本名・永松勝彦。満州の奉天(現在の遼寧省瀋陽市)で生まれ、戦火を逃れ父の故郷、熊本県玉名市にたどり着いた。高校生まで九州で育ち、卓球でインターハイに2回出場した。柔道2段の腕前をひっさげ日体大へ進学。学生時代に強盗を捕まえたことで警察官を志し神奈川県警に就職した。松田町の交番に8年勤務。15年前に乳がんで愛妻を亡くした。持ち歌の『愛妻ごころ』は「助けてやれなかった」妻に送る曲でもある。
○…10周年を祝う歌謡祭は全てが初めての挑戦だった。自主公演のため企画や営業に悪戦苦闘した。それでも笑顔を絶やさずにチケットを売り、ポスターを配り歩いた。その甲斐あってか歌手仲間が多数出演するにぎやかな舞台になる。「たくさんの人の支えもありここまで来れた」と感謝は尽きない。「次は20周年を目指して頑張ります」。駐在さんから演歌歌手への転身は、人生の第3幕へと続く。