山北町は5月23日午後、株式会社が設立する学校に設置認可を与える権限が内閣府から与えられる「教育特区」の認可を受けた、と発表した。
湯川裕司町長によると、町は今年2月22日に教育特区の申請を内閣府に提出した。特区の認可を受けたのは5月22日だった。
旧三保中学校の跡地利用を町が模索するなか、廃校を知った学校法人鹿島学園(本部・茨城県鹿嶋市、大森伸一理事長)が2014年に町へ活用を打診。同法人は普通高校や全国規模の通信制高校を運営している。通信制高校の生徒が一定期間通学して授業を受けるスクーリングの施設に旧三保中学校を活用する意向を示した。
これを受けて町は、地域の意向を確認したうえで学園誘致を決め、15年4月から内閣府や文部科学省との調整を始めた。
学園の早期開設を目指すため、県に高校の設置認可を求め3年程度を要する従来の方法ではなく、株式会社でも学校が開設できる「教育特区」の活用に向け国と調整することにした。
こうしたなか16年春に三重県内の通信制高校で国の就学支援金を不正受給したことが発覚。文科省が通信教育制度の見直しを始めたため申請に向けた事務調整が足踏みした。
さらに今年1月には同省で天下り問題が発覚。再び調整が難航したが2月22日に申請にこぎつけた。
申請から認可までの期間は通常、申請受理から3カ月以内で、町は今月下旬の認可を見込んでいた。そうしたなか森友学園問題や加計学園問題が文科省を直撃したが、5月22日に無事、教育特区が認可された。
湯川町長は「最後まで難しい局面が続いたが認可され安心した。学園の早期開設、健全運営に向けて今後も国と連携しながら取り組んでいきたい」と話した。
推進室設置
町は6月1日付で学校教育課内の「教育特区設立準備室」を課相当の「教育特区推進室」に引き上げ、教育委員会を2課1室体制にとして「教育特区」に取り組む。湯川町長によると今後の山北町での特区の取り組みが「山北モデル」となり全国の先進例になる。
今後は、学校法人鹿島学園が設立した株式会社山北学園(本社・山北町三保、大森伸一社長)が、旧三保中学校での通信制高校設立を町に申請し、町が設置する有識者らによる私立学校審議会が審査する。
順調に進めば今年9月にも「鹿島山北学園」が開設され、通信制の生徒が三保地区を訪れ、滞在して通学する流れができる。
会見延期に
町はこの件で5月24日午後、翌25日に湯川裕司町長と山崎佐俊副町長、石田浩二教育長が会見すると報道機関に通知したが、1時間後に延期を通知してきた。その後、29日夕方になり31日に延期したことを通知してきた。
役場で広報を所管する企画政策課の参事は25日、本紙の取材に「23日に発表した以外のことは答えられない」としたが、26日に湯川町長が取材に応じた。
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