「2人合わせて”幸福”」―。南足柄市中沼に住む70代の夫婦、大久保幸夫さんと妻の福江さんが、今年4月から市役所1階の食堂を切り盛りしている。相州牛を使った焼肉定食など13種類の500円定食が好評だ。
大雄山線「富士フイルム前駅」から徒歩5分の南足柄市中沼に、1軒の食堂がある。店の名前は「ぐっどらっく」。店主の大久保幸夫さん(76)と妻・福江さん(74)が、今から26年前の1991年に開店した。
500円で食べられるランチメニューは肉や魚を中心に10種類以上。ボリュームもありサラリーマンの腹を満たしてきた。惜しまれつつ今年3月にランチ営業の暖簾(のれん)を下ろし、4月から市役所食堂に入った。
バトンタッチ
市役所には市の職員共済会が運営委託する食堂がある。現在の庁舎が完成した1986年から代々地域の人が厨房を預かってきた。昨年8月、13年にわたり厨房に立ってきた千津島の山岸絹江さん(80)が、年度末での引退を市に申し出たた。そのため市総務課が南足柄市商工会に後継者の募集を依頼。会員向けに配布した経営者募集の案内に大久保さん夫妻が応じた。
「このまま仕事をやめても良かったけど、何もしないとよくない」と一念発起した両親の姿に、5歳と2歳の子どもを育てる息子の嫁、弥須子さん(40)が「応援したい」と、店の手伝いを申し出た。
両親について弥須子さんは「二人とも働くのが大好き」といい、福江さんは「嫁の手伝いがなければとてもできない仕事」という。
店では13種類の定食のほか450円の日替わり弁当やカレー、ラーメン、そば、うどん、飲み物やデザートの喫茶も提供している。メニューはすべて500円以内と手ごろだ。幸夫さんは「今後は足柄の食材を使ったメニューも提供したい」と意気込んでいる。
市役所の食堂は職員共済会からの委託を受けた営業だが、売上の保障はない。市総務課の月村均課長は「地域の皆さんの協力で食堂が維持できている。市民の皆様にも気軽に利用してほしい」としている。
■「軽食堂あしがら」…営業/月曜日から金曜日、午前10時〜午後3時。
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