老朽化により撤去されることが決まっている小田原城址公園内こども遊園地の「メリーカップ」。およそ半世紀にわたって親しまれてきた遊具の思い出を映画として残そうと、市民団体が実現に向けて動き出している。
1950年に開催された小田原こども文化博覧会。これを機に開園した遊園地に、メリーゴーランドが完成した。メリーカップは、その基礎を生かして70年代にリニューアルされた遊具で、大円盤上に配置されたコーヒーカップを模した乗り物のハンドルを操作すると、回転速度を変えることもできる。
豆汽車やバッテリーカーと並んで長年遊園地の顔を務めてきたが、昨年9月に実施された点検で不具合が発覚。以来利用が休止となり、今年1月には老朽化による撤去が決定したことが公表された。時期は未定だが、撤去後は休憩スペースとして整備することが検討されている。
作品で後世に残す
趣味が高じて約10年前から自主映画の制作に裏方として関わるようになり、現在は会社員として働く傍らロケ場所の手配や撮影補助を請け負う「西湘シネマクラブ」で代表を務める青木康至さん(41)。こども遊園地は幼少時代の遊び場で、撤去決定を受けてすぐに映画制作を思いついた。
「隣接する動物園で象のウメ子が死んだ時、映像として何も残せなかった後悔がある」という青木さん。「メリーカップは、地域の人たちにとって思い出のある遊具。撤去は仕方ないことだが、その姿を映画としてずっと残したいと思った」。早速知り合いの監督らに協力を求めると、制作に賛同してくれたという。
検討しているのはドキュメンタリーではなく、自然な形でメリーカップが登場するストーリー仕立ての短編映画。小田原出身の監督や俳優を起用し、完成した作品は各地の映画祭に出展することで地元のPRに役立てたいという思いもある。青木さんは「できれば、エキストラや裏方の仕事も地域から募集したい。制作に関わることで、メリーカップに対する思い出が増えるから」と話す。
自主映画のため、機材レンタルなど制作にかかる費用を募っている。目標額は100万円で、協賛金は1口3000円。協賛者の名前は作品のエンドロールに掲載する予定。協賛金の募集状況に関わらず撤去前に撮影を始め、来春の完成を目指すという。問い合わせは青木さん【電話】080・3015・9950へ。
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