2016年7月26日に相模原市緑区の障害者支援施設、県立津久井やまゆり園で19人が死亡し27人が負傷する殺傷事件が発生した。障害者への偏見や差別的思考の排除と再発防止の一助となることを願い、「ともに生きる社会かながわ憲章」の策定経緯を振り返る。
神奈川県にはそもそも、1976年に長洲一二元知事が提唱した「ともしび運動」がある。この運動は高齢者や障害者、子ども、外国籍の人など、誰もが多様なつながりを築くことができる社会を標榜するもので、現在は神奈川県社会福祉協議会を拠点に、県民運動が展開されている。
40年来の取り組みから、神奈川県は「福祉の先進県」として全国から評価され、今日に至っている。
そうしたなか、偏見や差別による凄惨な犯行が起こってしまった。
全会一致で
事件に敏感に反応したのが神奈川県議会だった。
事件直後に議長声明を発表した県議会は閉会中に常任委員会を開き、原因究明や再発防止について対応を協議。有識者や当事者団体から関係者を招く参考人招致や事件現場の視察も行い、9月8日の定例会初日に再発防止と共生社会の実現を目指す決議案を発議し全会一致で可決した。
複数の関係者は異口同音に「異例のスピード感だった」と振り返っている。
その後、9月29日の厚生常任員会で所属委員が憲章の策定を提起すると、10月6日に黒岩知事が憲章の提案を表明。13日に議案が上程され、14日に知事案が全会一致で可決された。
この憲章がすべてを解決するわけではないが、憲章の趣旨や神奈川県民に根付く「ともしび運動」の理念などを見直すことで、総ぐるみの取り組みが地域でもより実践できるのではないだろうか。
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