南足柄市・小田原市「中心市のあり方」に関する任意協議会は今月10日、予定していたすべての会議を終了した。協議結果をまとめた「市民周知用冊子」が9月1日に両市民に全戸配布され、今後は各市が市民に結果を周知して意見収集に取り組む。ここまでの動きをまとめた。
両市が設置した任意協議会は、両市長、副市長、教育長、市議、自治会、経済、福祉、教育の各分野から委員33人を選出し、両市職員による事務局の運営で2016年10月から9回の会議を重ねてきた。
主な議題は、両市が「仮に合併する」際の調整方針案で、事務局が取りまとめた案を協議会に示して委員が質問。質疑が出尽くした段階で委員に承認を求める方法で協議が進行した。
小田原市の加藤憲一市長が議長を務め議事を進行し、採決はせずに協議案が次々と承認されたため「意見を出しても反映されない。修正もわずかで追認するほかない」とこぼす南足柄市側の民間委員も複数いた。
「客観的に」
8月10日の最終会議で南足柄市の加藤修平市長は、9月1日に全戸配布する「市民周知用冊子」について踏み込んだ発言をした。「この協議会では合併の効果や課題、メリット、デメリットも議論された。これらを客観的な事実として盛り込むようこれまでも要望してきた。冊子に網羅されるということでよいか」と委員を前に述べ、事務局側に対し、暗に「ニュートラル」な対応を求めた。
市長が会議最終盤でこうした発言に及んだ背景には「中心市協議」としてスタートした任意協議が「合併協議」の様相を深めていった経緯がある。協議会で承認された25項目の調整案のうち、23項目が合併に関連していたため、回を重ねるごとに南足柄市の編入合併に向けた印象が強くなり「合併ありき」とする批判の声が高まった。
そのため南足柄市では一部市民に不安が広がり「合併反対」の運動が起こった。
一連の「持続可能な自治体の実現」に向けた”検討”は南足柄市の加藤市長の選挙公約でもあり、合併の予断を持たず「万機公論の中で議論する」として、任意協議の開催を判断した。
市長はこれまで合併の是非に言及していないが、任意協議会で合併の検討を公然と進めた結果、「合併」の言葉が独り歩きした。
「合併」は五分五分
両市の事務方は人口減少や少子高齢化による財政悪化の打開策として合併を求め、民間を巻き込んだ任意協議会を設置して「合併した場合」の財政効果について試算した。
任意協議では「合併」「中核市移行」「広域連携」を並列したため協議が複雑化し、専門性も高いため委員による議論も深まらなかった。肝心の市民への理解も進まず、合併に重要な機運も高まっていない。
そもそも合併は、両市議会の議決を経て進める法定協議会を設置し、その中で両市が合併に向けた調整事項に合意を重ね、合併計画を策定して両市議会が議決し、県と総務省の承認を得てようやく合併する運びとなる。今後の焦点は法定協議を行うかに移る。
これらの経緯や背景を踏まえ市民説明会に参加すると個々の考えが見出しやすくなるのではないだろうか。
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