足柄版 掲載号:2017年10月7日号
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お峯入り保存会の会長として10月8日の伝承公演を取り仕切る

池谷 和美さん

開成町吉田島在住 73歳

背中を見せ、生きてきた

 ○…「多くの皆さんのお陰で今回もお峯入りができる。共和に残っている人と共和に縁のある人が80人揃って良かった」。幾度となく演者として伝承公演を経験してきたが、保存会の会長として迎えるお峯入りは今回が初めて。10月8日を前に緊張感が色濃くなる。国指定重要無形民俗文化財のお峯入りは子どもの頃から身近にあった伝承芸能。「どの家も親の背中を見てこの文化を受け継いできた。そういう縁を大切にしたい」と伝承の意義を語る。

 ○…70年、暮らした共和を3年前に離れ開成町吉田島に妻と2人の家を建てた。決断にはさまざまに葛藤したが、身を以て経験した晩年の両親との生活から、そうすることに決めた。「体が弱っていく両親と寝食を共にして2人を看取った。もし自分が、と考えたらここでは暮らせないとなった」。それでも代々守り続けた家では入れ替わるように長男が暮らし始めた。「本人がそう申し出てくれた」と穏やかに笑った。 

 ○…子どものころ「ヒーヤーヒー」と叫びながらホウキを振り回して遊んだ。「大人たちが演じるお峯入りは今よりも身近で、学校の先生が影絵を作ってくれたりもした」。炭焼きをする祖父の横で枝を刻み、炭焼きの物真似もした。できた炭をかついで山を歩くのが日課だった。祖父と両親、姉と妹3人の8人家族で育ち、情報処理システムの外資系日本法人に就職。20代後半から10年ほど、新橋にあるメガバンクのシステム管理も担当した。

 ○…食卓では奥さんの煮物が一番の好物。「白メシがノドを通らなくなっても煮物だけは食べたい。あんなに美味いもんはない」と言ってはばからない。両親の看病に共に明け暮れ「子育てする間もなかった」が、その背中を見て育った2人の息子は彼岸や盆の墓参りを欠かさない大人に成長した。親ながら、その姿に「感心する」。8日のお峯入りでは、父としてその息子の演舞も見守る。

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