神奈川掃除に学ぶ会の世話人で、掃除を通して子どもの育成をしている 中村 勉さん 開成町吉田島在住 73歳
掃除は自分みがき
○…トイレを素手で磨くイエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏が提唱する「日本を美しくする会」の支部「神奈川掃除に学ぶ会」のメンバーとして活動する。学校での実践的な清掃を通じて、子どもたちが充実感や達成感を感じる機会をつくっている。今月19日には岡本中学校で180人とトイレ掃除に汗を流した。「ボランティア」ではなく「自己研さんの場」という。「掃除は気づきの場。熱心に取り組む子どもたちの姿に学ぶことは多い」と話す。
○…掃除の原点は母親の手伝いだった。5歳のときに父の病気で長野県から南足柄市に移り住んだ。伯父の会社で働きながら、自分を含めて4人の子を育てる母を「助けたい」と、小学生のときから掃除や買い物を手伝っていた。「掃除をすると誉めてくれた。それが嬉しかった」と、当時を振り返る。「社長になって母に楽をさせてあげたい」。いつしかそんな夢をもつようになった。
○…高校卒業後に就職。24歳で独立してフイルム原料のリサイクル会社を開成町で立ち上げた。その会社が現在の「南開工業」の前身だった。プレハブとトラック1台、社員2人でのスタートだった。「掃除はモノづくりの原点」と、会社では常に社内清掃に力を入れた。従業員は400人を超え、2008年に息子を後継者に立てた。創業以来の理念は次の世代に受け継がれ、今年は「掃除大賞」の文部科学大臣賞を受賞した。足柄上地区の小中学校で子どもとトイレ掃除を始めて18年。訪問する学校は年間5校に及ぶ。「掃除に参加した子が入社してくれた」と目じりを下げる。
○…29歳で同級生の妹と結婚した。会社の草創期からずっと支えてくれている奥さんには「感謝の気持ちでいっぱい」という。目下の楽しみはゴルフ。週に1回はコースに出る。73歳になった今でも、出社前に開成駅前で清掃をする。20年以上続ける日課はこれからも続けていく。
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