松田町寄地区に40年以上続く養魚組合がある。国県町、さらに地元の農家らも出資して設立した”地域商社”は、今も独自の地域ブランドを模索している。観光客でにぎわうゴールデンウィークを前に地元を取材した。
国道246号線の寄入口交差点には「松田町寄自然休養村」の看板がある。この”自然休養村”は、農村と都市の交流を目的に1974年から5年間で集中的に整備された、いわば”農業の6次産業化エリア”。
地場産業のお茶栽培の設備投資と合わせて、ハイキングコースや観光農園、マス釣りといったレジャー産業を共存させようと官民が出資した。
そのさなかの76年に松田町寄自然休養村養魚組合が発足し、清流の中津川を活かしたマス釣り場やバーベキュー場と合わせ、渓流魚の養殖や魚の加工販売などを展開している。
「川魚にも流行がある」と話すのはお茶農家で7代目の組合長の渋谷薫さん(67)。若手のころから養殖や配達、施設運営、外商の現場に立ち続けている。
2014年には、海から遡上したヤマメ「サクラマス」の養殖に乗り出すと桜の名所として知られる松田町のイメージと相まって話題となった。
持ち運び式の囲炉裏をイベント会場に持ち込み、養殖した魚を炭火で焼く塩焼きは格別で、町のイベントや秦野市のたばこ祭などでは、人気魚のイワナと同じ1本500円のサクラマスも飛ぶように売れる。
刺身も美味で町の寿司店が直送の養魚をネタに押しずしを考案。地産地消にこだわる旅館や居酒屋からの注文もある。
そうしたなか組合でも独自の商品開発に余念がない。2年前に約40万円を投じて燻製器を設置し、35cmほどに育ったサクラマスを桜チップで燻すオリジナル燻製(1尾1500円)を売り出した。「燻製目当てでやってくる人もいて生産が追い付かない」(組合長)と手ごたえを感じている。
サクラマスは毎年5月に長野県安曇野市から養魚を仕入れ、1年半かけて中津川の水で育てている。
5月5日の若葉まつりでは、川魚のつかみ取りや囲炉裏を使った塩焼、燻製や鱒(ます)バーガーなどの加工品を準備する。問い合わせは組合【電話】0465・89・2321へ。BBQや渓流釣りなどレジャー情報はホームページで紹介している。
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