湯けむり♨発電熱海市でスタート 源泉からもくもく上がる湯気を有効活用しようと、熱海市が今月5日から発電実験を始めた。温泉水そのものを使わないエコ発電としてメディアの注目を集めている。
温泉は使わない
場所は大湯間欠泉近くの駐車場、ブルーシートで囲われた一角が小さな発電所のようになっている。エネルギー源となっているのは日帰り温泉・日航亭が所有する源泉「安保湯」。 装置の特長は、温泉自体を使わず、大気に放っていた湯気を活用する点だ。100度近い高温の湯気と水道水(20度)の温度差を「ゼーベック素子」が電気に変換する。この仕組みを研究する慶大環境情報学部の武藤佳恭教授や受託事業者の協力で、事業費約100万円で装置が完成した。出力は15ワット。電気は隣の湯前神社の「アプリケーション」に送られ、24時間LED電球を点灯させるほか、武藤教授が開発したスピーカー(=写真の黒い丸部分)からは神社の音声ガイドが流れる。これにはUSB端子の差し込み口もついておりパソコンやスマホの充電(無料)も可能。付近では無線LANでWi─fi(インターネット)も接続可能など、すべて湯気の力とは思えないほどの多機能ぶり。市総合政策推進室では「まだ小規模かもしれないが、源泉は沢山ある。市内各地にこの装置が増えれば災害時対策になるかもしれない」と期待を寄せている。