宮ノ下駅前で「箱根エイリアン展」を開いているクラフト作家 永井 悦子さん 湯河原町吉浜在住 46歳
丸メガネに渦巻く好奇心
○…箱根・宮ノ下駅前で開いた個展を覗くと、ふんわりした羊毛製の「箱根エイリアン」たちが並ぶ。大涌谷や強羅を歩きながら、3年前から見出していたという異形のキャラ。芦ノ湖に住むという人魚や黒たまごと温泉好きな宇宙人など、どれも箱根にどっぷり浸かった表情をしており、ギャラリーを訪れる観光客は不思議そうに見入っている。「次は地元湯河原の宇宙人を作ろうかと。ミカン型星人がいますから」とにやり。普段は作家活動とともに子供たちを集めたワークショップを開く。まずは何色もの羊毛を薄く重ね、丸める。カッターで切ると断面は美しい模様…これが何人もの子どもを虜にした。
○…平塚市出身。西湘高校に進学後、ロックバンドを結成してシンディ・ローパーなど洋楽をコピーしていた。「ドラム担当だったんですが、たまに歌う。でたらめな英語でね。海外留学生が目の前にいたのに」。このバンド話を皮切りに、思い出話を始めると、落語のようなオチがつく。母が洋裁の名人だったこともあり、実家は「布きれ」にあふれていた。その影響で東京染色美術学院に通うようになり友禅染などを学ぶ。当時は藍染めの色が爪に染み込み、周囲も不思議がる青い指先をしていたという。
○…夫の等さんが釣り好きだったこともあり8年ほど前に吉浜に移住した。骨の収集家という横顔をもつ。夫が魚を釣ったら身を食べ、骨は保存。湯河原を選んだ理由は風光明媚さでだけでなく、ここが骨に恵まれた土地だからだ。「骨って美しいんですよ。色も単なる白ではないし、すべてをそぎ落とした最終形だから」。好奇心と探究心にかり立てられ、生命の星地球博物館の剥製作りボランティアに参加したことも。自宅は動物の骨や、拾った鳥の巣、貝、虫の繭が並び、もはやプチ博物館。要するに「まだまだ知らないものがいっぱいなんです」。語りながら見えない何かを探すようだった。
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