「本当に気づけなかったのか」 湯河原の中学2年生自殺 保護者に調査報告
4月に湯河原中学校2年の男子生徒が自殺した問題で、アンケートや聞き取りなどを続けていた「湯河原中学校支援対策本部」が調査報告書をまとめた。
50ページほどの報告書は遺族のために作られたもので、16日の保護者説明会で一部が明らかになった。
いじめは主に体育館での部活動時などに行われ、上級生が引退した昨年7月ごろから激しさを増したという。生徒は、紙を丸めてガムテープで補強したもので叩かれる、柔道技で倒される、頬や腰などを両方の平手で叩かれるといった暴力のほか、コンパスケースに黒く色を塗られるなどのいじめを受け、自殺前日も教室に戻ろうとした時に室内に入れないよう腕を引っ張られる嫌がらせを受けていた。いじめに関わった3人の生徒は今月初旬、児童相談所から家庭裁判所に送致されている。
報告を受けた遺族は「本当に気づけなかったのか」と話したという。学校によると自殺した生徒からは生前いじめの相談はなく、校内アンケートにも記されず、教職員もその実態に気づかなかった、としている。
しかし生徒の自殺後に行ったアンケートには、いじめの情報が複数記され、町教育委や県職員らによる「支援対策本部」が事実確認のため聞き取り調査などを開始。調査後の結論を「重篤ないじめが自死につながった可能性が考えられる」とした。今後は専門家などによる第三者委員会を設けて調査する方針で、委員の人選を進めているという。
保護者説明参加者半減
保護者説明会の参加者は前回(4月)の約400人から半減した。閉会後は足早に立ち去る保護者が多かったが、2年生の子をもつ父親は「こんなに沢山のいじめがあって、体育館で行われていたのに本当に誰も知らなかったのか」と目線を遠くにした。別の2年生の保護者は「前回の説明会に比べて会場前方が空いていた。だんだん風化しているのかも」。2年生の子をもつ母親は「他の親の思いも知りたくて来た。子どもはこの件について話さないが、学校からは授業を見に来てと頻繁に手紙が来る。以前よりも外に向かって開いたのでは」と話した。
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