冬ほたるin万葉「最終章」の実行委員長 南澤 良夫さん 湯河原町土肥在住 43歳
湯けむりに灯す 裏方魂
○…独歩の湯をイルミネーションが彩る、湯河原名物「冬ほたる」。10周年で最終章、という大きな節目の実行委員長として動いてきた。実行委は商工会や旅館協同組合の若手が中心で経営者や2代目も多く、自らも製菓店の社長だ。誰もが多忙な時間を割いて準備に携わっているのだが、その苦労はほとんど語ろうとしない。「僕らは裏方ですから。終わった後にみんなで美味い酒が飲めれば」。
○…職人気質な口調から想像しがたいが以前は芸能界の住人だった。湯河原中学の頃に見た某アイドルの公演に感動して芸能マネージャーを志す。小田原城北高を卒業後、突き動かされるようにアメリカに飛び、ハリウッドを目指した思い出も。こんな破天荒さが運を引き寄せたのか、求人誌を通じて、ある俳優のマネージャーとして就職することに。夢は早くも叶った。
○…主な仕事は俳優のスケジュール作成で、日々の仕事の組み立てから、その俳優の将来も想って働いたという。しかし相手の信頼はなかなか得られなかった。「こんなに尽くしているのに、なぜ」。スランプに陥った時に先輩から「自分の夢のために頑張れ」と諭された。肩の荷が下り言葉が心に焼き付いた。
○…29歳の時に4年間のマネージャー生活に区切りをつけ家業を継いた。今は3人の子の父。子どもたちと遊ぶ時も「自分のために」全力投球。仕事がひと段落するときまって飼っているという馬のもとへ向かう。9年前から世話を続け、何度も落馬させられたが「まるで人間の3歳児みたいでねぇ」と表情がゆるんだ。
○…今回は会場に有名歌手を呼ぼうと、所属事務所にメールを送りつづけ、交渉にこぎつけた。呼ぶことはできなかったが食らいついた事に後悔はない。「自分は冬ほたるを楽しんでいるから。自分のためです」。とことんポジティブな裏方魂で残り5日間を引っ張る。盛り上げ役が熱いと、足湯も芯から温まりそうだ。
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